われわれの多くは、スマートフォンとして知られる強力なコンピュータをポケットや小さなバッグに入れて持ち歩いている。飛行機の中で、「iPad」など、リーガルパッド程度の大きさのガジェットで読書を楽しんでいる人を目撃するのも珍しいことではない。喫茶店に入れば、小型ノートPCのキーボードをせっせとたたいて、電子メールのチェックやウェブサーフィンをしている人に必ずと言っていいほど遭遇する。
これらすべてのデバイスの系譜は何らかの形で、1981年8月12日に行われた記者会見にまで直接さかのぼることができる。IBMは同日、ニューヨークにある格式高いウォルドルフアストリアホテルのボールルームを借り切って、画期的なパーソナルコンピュータ、「IBM Personal Computer 5150」を発表した。
今になってその箱型をしたベージュ色のマシンを見てみると、特筆すべきことは何もないように思える。フロッピーディスク向けの2つの黒いベイを備えた長方形のCPUという設計に驚嘆すべきところはない。ラインやグラフィックス、カラーパレットにも特に印象的なことはない。5150は最初のPCでさえなかった。AppleやAtari、Commodoreは5150に先行して、いわゆるマイクロコンピュータをすでに製造していた。そして、IBMの5150はいくつかの点でそれらのライバルに劣っていた。
しかし、5150はそれ以前のどのコンピュータよりも、PC革命の始まりに貢献した。5150は仕事や通信の方法、娯楽の様相を一変させた。これといった特徴のないこの金属の塊は、業界をひっくり返すような革新をもたらした。それ以前のどんなコンピューティングデバイスよりも、5150はわれわれの世界に大きな変化を引き起こした。
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