発売30周年を迎えた「IBM Personal Computer 5150」--業界を形作ったPCを振り返る - (page 3)

Jay Greene (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年08月18日 07時30分

 その後の1980年代、PC業界が形成され始めるにつれて、IBMはOSをコントロールすることの重要性に気づいた。同社はMicrosoftとともに次世代OSの「OS/2」を開発した。それと同時に、Microsoftは「Windows」と呼ばれる競合のOSも開発していた。両社のパートナーシップは1990年に破局を迎え、MicrosoftのWindowsはPC向けOS事業を支配するようになった。IBMが初期に行った決断、特にサードパーティーのOSを選択し、最終的にDRIのCP/MではなくMicrosoftのPC-DOSを選択したことは、結果として今日のコンピュータ業界を形作る上で極めて大きな役割を果たした。

 システムユニットとキーボード、カラーグラフィックス機能で構成された初代5150の価格は1565ドルだった。消費者はディスプレイやプリンタ、ディスケットドライブ、追加メモリなどのオプションに、さらに多くのお金を支払う必要があった。5150は当初、ディスケットドライブのない状態で21ポンド(約9.5kg)の重量があった。ディスケットドライブ2基を搭載したときの重量は28ポンド(約12.7kg)だった。ディスケットドライブを追加する前のROMの容量は40Kバイト、ユーザーメモリは16Kバイトだった。参考までに、サムスンの新しい薄型ノートPC「Series 9」の重量は2.88ポンド(約1.3kg)で、128Gバイトのハードドライブと4Gバイトのシステムメモリが搭載されている。

 5150は大成功を収めたが、この成功には当時の非常に象徴的な広告のいくつかが大いに寄与した。IBMは、誰もが同社の新しいコンピュータを使うことができるという概念を伝えたかった。そのため、同社はCharlie Chaplinの「放浪者」のキャラクターを広告で使うことに決め、その広告では、パントマイムのWilliam Scudderがおだてられて新しい5150を使用する愛すべき愚か者を演じた。

 コンピュータ業界がいかに変容したかは、IBMがもはやPC製造業に携わっていないことが多くを語っている。IBMは2005年、同社のPC事業を中国のPCメーカーであるLenovoに17億5000万ドルで売却した。IBMは、PC事業がますますコモディティ化していることを認識していた。それは同社が5150で始めたことだった。そして同社は、かつての市場の急成長は過去のものであることに気づいた。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]