MS、コンパイラをサービス化する「Roslyn」の詳細公開へ

Mary Jo Foley (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 末岡洋子2011年07月19日 17時32分

 Microsoftは、米レドモンドで7月18日より3日間の日程で開催する年次イベント「Faculty Summit 2011」にて、コンパイラ・アズ・ア・サービス(CaaS)プロジェクト「Roslyn」についての情報を公開する計画だ。

 Roslynは、広義ではMicrosoftの「.NETをクラウドへ」を推進するものだ。MicrosoftはRoslynの目標について、「モダンなツールの土台として使用できる修正可能なコンパイラアーキテクチャを構築すること」と述べている。

 7月19日の「Refactoring with Roslyn Circus Comes to Town」というセッションで、Visual StudioのプログラムマネージャであるKaren Ng氏が、Roslynがどのように「Visual Basic」「Visual C♯」コンパイラのコード分析を見せるかについて話すことになっている。以下は、Microsoft Researchのウェブサイトにあったセッションの内容説明だ。

待ち望んでいた時がついにやってくる。Microsoft .NETコンパイラがコンパイルパイプライン内部にアクセスできるようになり、便利なIDE統合ツールも使えるようになる。.NETの言語研究がこれまでよりも容易になり、新しいタイプのリファクタリングとコンパイラおよびランタイム研究が可能となる。このセッションでは、新しいAPIを使ってどのようなことができるのかを説明する。自動パラレル化、クロス言語のカット&ペースト、深いセマンティック分析などに期待してほしい。

 Roslynは新しい開発コード名ではない。以前から私が作成している「Microsoft Codetracker」にもリストアップされているコードだ。また、2010年12月にはC♯コンパイラ開発チームの開発者、Eric Lippert氏がRoslynの広義での目標をブログで説明している(Lippert氏によるRoslynの説明を知りたいなら、2011年3月の.NET Rocksポッドキャストがある)。

 Roslyn技術の商用化がどれぐらい進んでいるのか、これらの情報から判断することは難しい。「Visual Studio 2012」の一部となるのか、まだずっと先になるのか、私にはわからない(Visual Studio 2012の機能について、Microsoftはあまり明らかにしていないのだ)。だがMicrosoft Researchのイベント内にRoslynのセッションが用意されたことを考えると、Roslynの商用化は、製品やサービスという点からみると2012年よりもずっと先になる気がする。

 しかし、MicrosoftがRoslynチームのプログラムマネージャーを募集する求人情報にて、Roslynを「次期版のC♯とVisual Basic(VB)言語およびコンパイラ」と記しているのを発見した。この求人情報で、MicrosoftはRoslynの目標と位置づけを以下のように記している。

LINQ(Language Integrated Query)、Dynamic、Asyncなどの例で明らかなように、C#とVBチームは素晴らしい言語機能を所有している。われわれの次の目標は、コンパイラに対する考え方やプログラム言語に何ができるのかという認識を変える大胆かつ新しい作業だ。これまでVBとC♯コンパイラはブラックボックスのように使われ、テキストを入力するとバイナリファイルが得られるというものだった。開発コード名Roslynでは、コンパイラの分析エンジンを見せるAPIを構築することでこの仕組みを変える。これにより、REPL、リファクタリングの自己作成、スクリプト言語としてのC♯およびVCといった新しいシナリオが可能となり、.NETのクラウド化が実現する。

 Roslynの商用化はいつになるのだろうか。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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