GoogleのOS「Android」はどこまで支配的になるのだろうか。それは、Googleの手に特許が渡らないよう、業界のライバル企業のほぼすべてが45億ドルをかけた勝負に出るほど支配的だ。今後、訴訟が活発になってきそうだ。
先週、AppleとEMC、Ericsson、Microsoft、Research In Motion(RIM)、およびソニーで構成されるコンソーシアムは、Nortel Networksの特許6000件を45億ドルという高額で落札した。Googleはこのオークションにまず「stalking horse bid」と呼ばれる方式で9億ドルを入札し、円周率の数字が並んだ額を提示するという遊び心を見せたと伝えられているが、法廷でAndroidを守るための最高の機会を失った。Nortelの特許は、この破産した通信機器メーカーにとって見事な有終の美となった。同社はすでに分割のうえ、売却されている。
コンソーシアムに参加している企業はほとんどコメントを出していないが、ともにGoogleと対立するApple、Microsoft、RIMにとって、Androidは大きな悩みに違いない。RIMは7億7000万ドルを拠出し、Ericssonはそれとは別に落札額に3億4000万ドル支払った。残りの額は明らかになっていないが、Robert X Cringely氏の記事によれば、Appleは4G LTEの特許に20億ドルを出し、Microsoftとソニーは10億ドル出したとされている。Microsoftはその役割について沈黙を続けている。
奇妙なのは、Googleが当初、訴訟を防ぐためにNortelの特許に入札すると発表していたことだ。どうやらGoogleは、45億ドルを弁護士に支払ってAndroidを弁護した方が、見返りが大きいと考えたようだ。
では、次に来るのは何だろう。訴訟だ。それもかなりの数である。
米ZDNetが以前取り上げたように、CitigroupのアナリストのWalter Pritchard氏は、GoogleにはAndroidを守るための知的所有権がほとんどないとみている。同氏は次のように述べている。
Googleは、自らを守るための知的所有権をほとんど持っていないようだ。知的所有権侵害で告訴された被告が一般的に行うのは、知的所有権侵害の反訴という形で「報復」することだ。そうすることによって、長期にわたり、高額の訴訟手続きに入って、結果的に高額で影響の大きい和解に達するかわりに、最終的にある種のクロスライセンスなどの緊張緩和状態となることを余儀なくさせる。重要な知的所有権を独自に持っていなければ、Googleがこの防御策を行える可能性は低い。
Cringely氏は、この45億ドルの落札額をめぐり、Googleが独占禁止法違反や取引制限で訴訟を起こす可能性が高いとしている。Googleは、Androidに関するOracleとの進行中の訴訟とともに、今後の訴訟も何とか調整していくのだろう。
しかし真の大論戦が始まるのは、コンソーシアムがAndroidに関してGoogleを訴えようと動く時だ。Oracle対Googleの論争を注目すべきものと考えるなら、AppleがAndroid関連訴訟を起こすのを待つといい。Microsoftといえば、すでにAndroidから特許使用料を懸命に徴収している。Florian Mueller氏は、MicrosoftがAndroid端末のメーカーと結んだライセンス契約についてまとめている。
GoogleはNortelの特許によって、自社のAndroid関連の知的所有権問題をすべて解消するつもりはなかったが、それがあれば1つの良い防御線にはなっただろう。Nortelの特許を手にできなかったことは、その値段が45億ドルという途方もない額だったとはいえ、GoogleとAndroidをいつまでも悩ませることになるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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