FAQ:アップルのマルチタッチ関連特許--その内容と影響は - (page 2)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年06月27日 07時30分

 この特許が対象とするこうしたテクノロジは、「携帯型多機能機器」で使われるものだ。この「携帯型多機能機器」は、スマートフォンだけでなく、タブレット、さらに将来登場するほかのタッチスクリーンデバイスも含むほど、十分に広い意味を持つ表現になっている。また、この特許では「translate」という語が使われているが、これは何かをスクリーン上で上下、左右、あるいは対角線方向に動かすという意味であり、ある言語を別の言語に変換するという意味ではないことを確認しておきたい。

Appleのマルチタッチユーザーインターフェースに関する特許を示した図。 Appleのマルチタッチユーザーインターフェースに関する特許を示した図。

--誰がこの特許を取得したのか。

 発明者は、Francisco Ryan Tolmasky氏、Richard Williamson氏、Chris Blumenberg氏、Patrick Lee Coffman氏で、2007年に出願した。Appleは譲受人である。

 この4名は全員、Appleが2009年に取得したマルチタッチ特許の大勢の発明者の中に含まれていた。ただし今回は、Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏の名前は発明者の中にない。

--なぜAppleの特許を注意すべきなのか。

 現在の携帯電話業界は、モバイルテクノロジ関連の特許侵害訴訟が数多くあるにもかかわらず、テクノロジ分野のほかの業界に負けない速さで動いている。こうした訴訟には、Apple、Google、Microsoft、Nokia、Motorola、サムスン、HTC、Oracle、Kodakなどが関係している。特許侵害訴訟は、非常に高額の費用がかかる。

 特許は、特に範囲が広いものほど、こうした企業にとって特許侵害訴訟での強力な武器となる。AppleはNokiaが2009年に起こした訴訟で、同社に巨額の支払いを行ったばかりだ。Appleの新しい特許は、手続き面の制限が許せば、既存の訴訟の一部となることも考えられるが、一般に特許は効果が長期間にわたるものだ。

 企業が特許のクロスライセンス契約を結ぶことによって、訴訟を回避することは多い。クロスライセンス契約では、お互いに相手の特許ポートフォリオを利用できるようにする。この場合も、特許は役に立つ。クロスライセンス契約では通常、特許ポートフォリオの内容が劣る方の企業が、相手企業にライセンス料を支払うことになるからだ。

 こうなると、ビジネスを行うための費用が非常に高くなる。多くの特許を保有する既存企業は、新規参入企業よりも有利だ。たとえば、台湾企業のHTCは、「Android」スマートフォンで一躍有名になったが、Appleに特許侵害訴訟を起こされている。

 GoogleがNortel Networksの破産手続きの中で、同社の特許と出願中の特許に9億ドルを支払おうとしているのには、こういった背景がある。

--Appleが今回手に入れた武器はどのくらい強力なのか。

 非常に強力だと、一部の人々は考えている。

 この特許取得が持つ意味合いを心配している人物の1人がFlorian Mueller 氏だ。Mueller氏は、自らのブログFOSS Patentsで、現在行われている特許訴訟を注意深く監視している。

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