グーグルは6月21日、モバイル広告事業に関する説明会を開き、モバイル市場の現状やモバイル広告における戦略について説明した。
IDC Japanの調査結果によると、1~3月に出荷された携帯電話のうちスマートフォンの割合は全体の44.9%を占めるという。また、2011年中にスマートフォンの保有者数は2100万人に達すると見込まれている。調査結果からスマートフォンは急速に普及していくと考えられるが、グーグルが大手広告主に実施した意識調査によると、約6割がモバイル広告を実施していないという。
グーグルでモバイル広告営業部統括部長を務める香村竜一郎氏は、過半数の広告主がモバイル広告の強化に興味を持つ一方で、ビジネスにおけるモバイル広告への適合性が不確かなことや、スマートフォン向けのウェブサイトやアプリなどの資産を持っていないことが、モバイルでの広告展開の妨げになっていると説明する。
また香村氏は、スマートフォン向けのモバイル広告を成功させるための要素として以下の5点を挙げる。香村氏によれば、これらの条件を満たしている広告主や代理店はまだ少数だという。
スマートフォンに最適化されたサイトを作る上記でも述べたように、現状では広告主の半数以上がスマートフォン向けの資産を持っていないが、今後さらにユーザーが増加することを考えれば、スマートフォンに最適化されたサイトは必須といえる。
地域やローカル情報を意識するグーグルによると、モバイル検索クエリの3分の1がローカル情報に関連しており、48%が地図で店舗やサービスを探している。このため、モバイルでマーケティング活動を行う際は、位置情報やローカル情報がどのように影響するかを意識するべきだという。例えば、米国の家電量販店Best Buyでは、アプリで購入した商品を自宅から最も近い店舗で受け取ることができる。
パーソナルな情報や体験と連動させる携帯電話は常に身近にあるものであり、個人的な体験と連動したサービスを提供するのに適している。米国の損害保険会社Nationwideでは、自動車事故にあった際に、アプリからすぐに救急車を呼んだり、事故現場や車のナンバーを写真でエージェントに送ることができる。
成果を“見える化”するスマートフォン向け広告でも成果の“見える化”が重要だ。香村氏によれば、多くの広告主がPCとスマートフォンのトラッキングデータを併合しているという。スマートフォンにはスマートフォンならではの特性があるため、データを分ける必要がある。
テストを繰り返す成果から良かった点や改善点を分析して、PDCAサイクルを回す。すでに多くの広告主が実施していることだが、国内のスマートフォンユーザーは急速に増え続けており、そのスピード感についていくには、このPDCAサイクルをより早めなければならない。
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