AppleのWorldwide Developers Conference(WWDC)が米国時間6月6日朝、サンフランシスコで開幕する。WWDCはAppleの開発者向け年次会議で、トレーニングセッションや交流の機会が提供されるとともに、最も大事なこととして新しい製品やサービスの発表がある。
2011年のWWDCも例外ではない。ただし今回の場合、Appleが1つ先手を打っているという違いがある。Appleは先週、最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏が新バージョンのMac OSとiOSとともに新しい「クラウドサービス製品」である「iCloud」を発表することを明らかにしている。ちなみにAppleは2010年のWWDCの場合、Jobs氏が基調講演をすることしか事前に明かしていなかった。
以上のような情報があるとはいえ、今週の会議を迎えるにあたり、明らかになっていない事項もある。ここでは、そのうち5つを考えてみる。
MobileMeの公開は、いくつもの失敗に見舞われたことで記憶されている。複数のサービスがダウンし、データが失われ、主要機能の同期で問題が発生した。このMobileMe公開が引き金となり同社内部では、Jobs氏がMobileMeチーム全員を呼びつけて会議を開き、責任者を交代させ、さらに自社ブランドを汚したこと、そして互いに期待を裏切ったことで皆を責めたと言われている。この話から、iCloudを仕上がった状態で登場させるのが、いかにAppleにとって大事かが想像できる。
さらに重要なのは、iCloudによりAppleは、同社が提供する製品は他では得られない、少なくとも競合と比べて優れていることを証明する必要がある。MobileMeに関する最大の不満の1つに、同サービスが提供する多くは、他でも、しかも、無償で得られるということがある。Appleは、iOSアップデートに際して「iPhoneを探す」機能を無償にしたが、それによりこの議論に拍車がかかる結果となった。Appleは現在、同様の脅威に最初の段階から直面していて、それは、AmazonとGoogleという競合を伴う形となっている。両社は、ストレージとしてのクラウドベースサービスにおいてAppleより先行している。それでもAppleは顧客に驚きを与えることができるだろうか?
iCloudは、LionやiOS 5と異なり、既存製品の続編という見方をされていない。そうなると最も大きな疑問の1つとして、iCloudがAppleの既存サービスを完全に置き換えるものでないならば、それらのサービスにどの程度フィットしているかがある。同サービスのクラウドストレージを考えた場合、Appleが現在提供するクラウドストレージツールでMobileMeの一部としてバンドルされる「iDisk」はどうなるのか?また、もし楽曲ストリーミングがあるならば、iCloudはAppleの「iTunes」と最終的に統合されるのだろうか?iTunesソフトウェアは既に多くのことやろうとし過ぎている、という意見を多くの人が持つであろう。それとも、iCloudはブラウザ経由になるのだろうか?
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