過去においてAppleは、WWDCを新バージョンのOS Xをデモする場として利用している。しかし、2011年は順序が入れ替わっている。Appleは、Lionを2010年10月に開催したプレスイベントで紹介し、複数の開発者向けプレビューを正式版の年内発表に向けてリリースしている。これは、通常ならWWDC後に起こるであろうことだ。Appleは、多くのバグをこれまでに修正し、OS Xを店頭に並べる準備が整うという状態にまで十分に来ていると思われる。その場合、最大の疑問は、発売が基調講演当日になるかだ。
iOS 5についてAppleは、一般リリースを前に複数の開発者向けベータを作成して不具合を修正するというこれまで通りの動きを取っている。同OSが6月6日に初公開されることを考えると、正式版がすぐに提供されると考えない方が良さそうだ。Appleは、同様の手法をMac OS XやこれまでのiOSのリリースで取っている。同社は、開発者にプレビュー用のビルドをいくつか提供し、アプリケーションの互換性を新機能やアップデートされたAPIとの間で確保できるようしている。
これに当てはまらないのがiCloudだ。同サービスは最大の疑問であり、話が複雑だ。MobileMeの場合、さまざまな問題が発生したことは別として、Appleは、.Macの全面改修版である同サービスを発表日に公開している。Appleは1年後、iWork.comオフィススイートも発表日に公開した。しかし、iCloudで提供されると言われる機能全てが公開日に利用できない可能性もある。米CNETのGreg Sandoval記者は2日、ストリーミングは当初提供されず、iTunesで購入された楽曲のみが保存可能となり、ユーザーが持っている他の楽曲が加えられるのは後日になると報じている。
Appleが提供するMac OSは、最新版の価格が大幅に値下げされている。「Snow Leopard」では、10.5である「Leopard」のユーザーに対するアップグレード価格が29ドルだった。Leopardでは、「Tiger」ユーザーに対するアップグレード価格が129ドルだった。一部において、Snow Leopardはメンテナンス的アップデートだったので低価格だったと言われている。同OSには新機能も複数あったが、大きなアップグレードは内部的なものだった。
いろいろな意味において、Lionも同様の位置付けにある。Mac OS Xの視覚的スタイルにおける多くの変更とともに、アプリケーションの処理、ファイルセキュリティ、システムのバックアップと復元などの既存機能も備える。
価格に影響を与える要素して配布方法がある。Apple Insiderは5月、同OSをMac App Storeからの直接ダウンロードで提供することをAppleが計画していると報じた。Mac App StoreでAppleは、ディスクで販売する場合に比べて非常に安くソフトウェアを販売している。このことを証明するケースとして、同社のプロ用写真編集ソフトウェアの「Aperture」がある。Apertureをディスク版で購入すると199ドルする。一方、Mac App Storeを利用すると、デジタルダウンロード版は79.99ドルだ。
Appleは完全版のシステムソフトウェアアップデートに対し、このような手法を取るだろうか?同ソフトウェアのプレビュー版をMac App Storeで開発者に配布していたという事実は、明らかに良い兆候だ。自社のデジタルソフトウェアストアでの買い物をユーザーに始めさせる方法としても、ずるくもあるが賢い方法だ。同ストアは将来大きな利益を生む可能性のある大きな仕組みだからだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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