メールに添付できない大容量のファイルを相手に送る際に重宝するのが、いわゆるファイル転送サービスだ。クラウド上にファイルをアップロードし、そのURLを相手にメールで通知する。メールを受け取った相手は指定されたURLにアクセスし、必要に応じてパスワードなどを入力してファイルをダウンロードするというものだ。メールサーバに負荷をかけることもなく、また都合のよい時に受け取れるというメリットがある。
こうしたファイル転送サービスとしては、国内での草分けにあたる「宅ふぁいる便」や「データ便」「firestorage」、有料サービスの無料プランとしてはリコーが運営する「quanp」などが有名だが、それ以外にもさまざまなサービスが存在する。マイナーながら息が長いサービスから、新顔のサービス、さらには海外のサービスまで、顔ぶれ豊かな9つのファイル転送サービスを紹介しよう。
本題に入る前に、ファイル転送サービスを選ぶ際のポイントとは何か、あらためて考えてみたい。
よくあるのが「ファイルサイズの制限」で選ぶというパターンだ。「最大100Mバイトまでのファイルに対応」というサービスよりも「最大1Gバイトまで対応」のサービスのほうが、どことなく優秀に思えてしまう。たしかに大きいファイルを転送したい場合、大は小を兼ねるのは事実だ。
しかし、アップロード可能なファイルサイズが大きくなればなるほど、回線は長時間占有されてしまうので、なかなか回線の空きが出ず、スループットも低いといった事態に陥りがちだ。容量面ではさして目立たないサービスのほうが、じつは転送速度の面では有利な場合もある。制限の緩いサービスほど利用者が集中する傾向にあるので、ケースバイケースで複数のサービスを使い分けるのが賢いやり方だろう。
またファイル転送サービスは、ビジネスタイムであれば14~17時、プライベート利用であれば21~0時ごろが、利用時間のピークと言われる。これらの時間になるべくファイルを高速に転送したければ、時差のある海外サービスを利用したほうが、混雑もなく快適に利用できる場合がある。その点からも、混んでいると感じたら別のサービスに切り替えられるよう、複数のサービスをリストアップしておいたほうがよいというわけだ。
従って、今回紹介する中から1つのサービスに絞るのではなく、何かあればすぐに別のサービスを試せるよう、リンク集のように活用することをおすすめする。快適に使えていたサービスがある日急に遅くなったり、その逆ということも頻繁に起こりうるからだ。
なお、以下のリンク先の記事内容は執筆時点の仕様に基づいているため、その後の機能改善や追加、ならびに制限が行われている可能性がある。あらかじめご了承いただきたい。
senduitは、シンプルイズベストのファイル転送サービス。アップロードが完了するとURLが発行されるのでメールに張り付けて相手に通知する。一度にアップロードできるファイルサイズは100Mバイト、保存期間は最大1週間、会員登録は不要。日本語ファイル名が文字化けするのが玉にキズ。
shared fileはシンプルな操作性ながら、パスワード設定やメール通知などの機能を備えた国産サービス。一度にアップロードできるファイルサイズは50Mバイト、保存期間は1カ月間と長い。会員登録は不要。右クリックからアップロードできるツールも配布している。
おくりん坊は国産の老舗サービス。パスワード機能こそないものの、メール通知、アドレス帳、ダウンロード履歴など機能は多彩。一度にアップロードできるファイルサイズは250Mバイト、保存期間は3日間、送信者は会員登録が必要。広告表示がやや多い。
FileQは匿名でも送できる国産のファイル転送サービス。最大10件の宛先に同時に送信できる。容量は600Mバイト、保存期間は5日間、会員登録は不要。アップロード時の進ちょく表示が分かりやすい。アップロード専用のAdobe Airアプリも用意されている。
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