Microsoftはウェブ開発者に自社のツールを使ってもらう取り組みを進めており、同社がかつて高度なグラフィックス開発に対する回答として大々的に宣伝した1つの製品、つまり「Silverlight」から巧妙にウェブ開発者を引き離そうとしている。
Microsoftのウェブ開発者向け年次カンファレンスであるMIX11が米国時間4月12日にラスベガスで開幕し、新しいウェブ標準のHTML5に関するデモや講演が行われた。HTML5の売りは、動画やアニメーションを使用するウェブアプリケーションの開発を容易にすることだ。これは、MicrosoftがSilverlightを開発した目的とほぼ同じである。
しかし、MIX11の初日、Silverlightはほとんど目立たなかった。Internet Explorer(IE)担当コーポレートバイスプレジデントのDean Hachamovitch氏とMicrosoftの「.NET」開発者プラットフォーム担当コーポレートバイスプレジデントのScott Guthrie氏が基調講演を行ったが、いずれの講演でもSilverlightの名前は全く出てこなかった。
Hachamovitch氏は「Internet Explorer 10」(IE10)のプレビュー版を初めて披露した際、HTML5をサポートしていることを強調し、ウェブから高速に読み込まれるスムーズなグラフィックスプログラムのデモを行った。デモでは、バンダイナムコゲームスが「Pac-Man」の生誕30周年を記念して開発した、複数のステージが用意された新しいPac-Manアプリケーションも紹介された。
Microsoftは数カ月前から、Silverlightを前面に出すことを止めている。長年のMicrosoftウォッチャーであるMary Jo Foley氏は2010年10月に開催された同社のProfessional Developer Conference(PDC)で、Silverlightがスポットライトから姿を消し始めたと指摘した。つい先週、MicrosoftはSilverlightのブラウザプラグインとしての役割を強調したが、それによって、高度なウェブグラフィックスを実現する重要なプラットフォームとしての役割は逆に軽んじられてしまった。
Microsoftのプラットフォーム戦略グループのゼネラルマネージャーであるTim O'Brien氏はその理由として、HTML5が進化して、Silverlightの中核をなす技術的問題の多くに対応するようになったことを挙げた。「この変化を牽引しているのは市場力学だ」とO'Brien氏は述べた。HTML5が進化すればするほど、開発者が同標準向けにアプリケーションを開発することは容易になる。そして、HTML5向けに記述するということは、Silverlightのようなプラグイン向けに記述した場合と比べて、そのアプリケーションがより広範に利用されることを意味する。
Silverlightには今でも果たすべき役割がある、とO'Brien氏は述べた。Silverlightはデジタル著作権管理(DRM)をサポートするほか、動画の起動時間を短縮する「Smooth Streaming」にも対応している。「全てのプログラミングタスクを単独で解決できる答えはない」とO'Brien氏は言う。Microsoftは13日に、MIX11で「Silverlight 5」のベータ版を公開する予定となっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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