「デジタルエクスペリエンスで世界を変革する」--アドビ、2011年度の事業計画を説明

柴田克己(編集部)2011年02月23日 16時57分

 アドビ システムズ(アドビ)は2月22日、2011年度の事業戦略について説明会を行った。代表取締役社長のCraig Tegel氏は、2010年度のAdobe Systemsの売上高が38億ドルに達し、これは2009年度から29%増と、好調なものであったことを強調した。

Craig Tegel氏 アドビ システムズ代表取締役社長のCraig Tegel氏

 売上増には、2010年4月に発売された「Adobe Creative Suite 5(CS5)」が大きく貢献している。事業部門別の売上高を見ると、CS5製品やFlash関連製品などを含むクリエイティブソリューションズ事業が54%、Acrobat、LiveCycle製品などを含むデジタルエンタープライズソリューションズ事業が27%、Omuniture事業が9%となっている。

 Tegel氏は、「AcrobatとCreative Suiteについて、日本は北米に次ぐ世界2位の市場。世界最大規模のFlexユーザーグループもあり、今後も引き続き注力していくマーケットである」とし、2011年度のワールドワイドでの売上目標を約42億ドルとする計画を明らかにした。

 同社では、2011年のミッションステートメントとして「デジタルエクスペリエンスを通じて世界を変革する」を掲げているという。Tegel氏は「他社には真似のできない、コンテンツの作成、配信のエコシステムを27年かけて構築している」とし、2011年度の注力分野として「コンテンツオーサリング」「カスタマーエクスペリエンスマネジメント」「オンラインマーケティングの最適化」の3つを挙げた。

 コンテンツオーサリングの分野では、スマートフォンとタブレットの爆発的な普及をうけた「マルチスクリーン」対応、同社のツールとサービス、プラットフォームにおける、さらなる拡大が見込まれる電子出版ビジネスへの対応などを進めていく。

 この分野においては、2010年10月に発表され、現在ベータテストの段階にある「Adobe Digital Publishing Suite」への期待が高い。印刷出版物の制作においてポピュラーな「Adobe InDesign」をはじめとするCS5のツール群を使って作成したデータを、電子出版向けにアレンジするとともに、コンテンツの管理や配信、さらには課金までのサービスを包括的に提供するサービスとして開発が進められている。発表会では、iPad/iPhone向けのパブリッシュに加えて、Androidを搭載するスマートフォンやタブレットでも、同じコンテンツを閲覧できるよう準備されていることが明かされた。

  • 電子出版の分野では、アセットの作成、コンテンツオーサリング、配信、課金、分析までの機能を包括的に提供する。

  • Digital Publishing Suiteでは、Android搭載のスマートフォンやタブレットをターゲットにしたパブリッシュにも対応する。

  • Digital Publishing Suiteでは、CS5のツール群と各フェーズ向けのサービスをスイートとして提供する。

 カスタマーエクスペリエンスマネジメント分野は、主に企業が、従業員が利用するアプリケーションや顧客とのコミュニケーションの分野において、アドビのテクノロジを活用し、業務効率や顧客満足度を高めることを目指すものだ。

 企業が利用しているERP、CRM、ECM、PLMなど、さまざまなビジネスアプリケーションが生み出すトランザクションデータを、LiveCycle製品群、2010年に買収したDay Softwareのエンタープライズコンテンツ管理(ECM)サービス、Omunitureのマーケティング分析サービスなどを用いて、より高度なユーザー体験に結びつけていくという。この結びつける部分の仕組みを、アドビでは「Customer Experience Management Platform」と呼んでいる。発表会では、実際にアドビ社内で用いられているカスタマーサポート用のアプリケーションをデモしつつ、リッチなユーザーインターフェースを持つアプリケーションが、サポートの対応時間を短縮し、顧客満足度を向上させているとアピールした。

  • ビジネスアプリケーションのデータと顧客とのコミュニケーションを有機的に結びつける仕組みを「Customer Experience Management Platform」と呼んでいる。

  • 中核となるのは、LiveCycle、Day、Omnitureの各製品群だ。

  • 実際にアドビのカスタマーサポートで使われている社内アプリケーションが一例としてデモされた。

 オンラインマーケティング最適化の分野では、買収したOmnitureのウェブサイト分析、最適化を提供するサービス群が重要な役割を果たす。同日アドビは、この分野を強化する新製品として「Adobe Recommendations, powered by Omuniture」を日本市場向けに提供することを発表した。

 Recommendationsは、主にECサイトにおけるレコメンデーションを自動化するエンジンだ。サイト訪問者に関するあらゆる情報から、プロファイルを推定し、より制度の高いレコメンドを行えるという。また、マーケターによる柔軟なカスタマイズが可能なほか、「SiteCatalyst」や「Test&Target」といった他ツールとの連携によって、レコメンデーションのさらなる精度向上やテスト、レポーティングが可能になっている点が特長となる。Recommendationsは、2010年12月より既にエディー・バウアー・ジャパンが導入しているという。

 オンラインマーケティング最適化の分野では、新たに加わったRecommendationsのほか、SiteCatalyst、Discover、SerchCenter+、Test&Target、Scene7などのサービスを「Adobe Online Marketing Suite」として統合し、既存顧客と新規顧客の双方に対し、オンラインマーケティングのPDCAサイクル全体を効率的に遂行できるサービスとして訴求していくという。

  • アドビシステムズ オムニチュア事業本部本部長の尾辻マーカス氏

  • オンラインマーケティングの最適化全体に活用できるサービス群を「Online Marketing Suite」として提供していく。

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