アドビシステムズ(アドビ)は2月1日、電子出版に関するイベント「Adobe Digital Publishing フォーラム 2011」を開催し、同社の電子出版ソリューション「Adobe Digital Publishing Suite(Digital Publishing Suite)」の制作事例を出版関係者らにアピールした。
Digital Publishing Suiteは、アドビのDTPソフト「Adobe InDesign CS5(InDesign CS5)」およびCreative Suiteシリーズ各製品による制作環境と、電子ブックの配信や決済などオンラインサービスを組み合わせて提供する。米国では2010年秋からスタートしており、日本でも2011年第2四半期のサービス開始に向けプレリリースプログラムが一部出版社を対象に提供されている。
米Adobe Systems メディアソリューションズ部プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントのRicky Liversidge氏は、出版社を手伝うという同社のスタンスを明確にするとともに、「ただ紙をタブレットに置き換えるのではなく、インタラクティブ性を持たせるなど価値を高める必要がある」と、全面協力のもと制作に取り組んだConde Nastの「WIRED」や、Omnimediaの「Martha Stewart Living」を引き合いに、米国の事例を紹介した。
広告についても「文脈を引き継ぐ形で掲載されなければならない」としたうえで、Tiffanyの事例を紹介。Digital Publishing Suiteで制作する電子ブックには、ウェブでは難しいブランド性の高いプレミアムな広告を配信できる力があることをアピールした。
Digital Publishing Suiteの状況については、すでに全世界で3000社以上の出版社がプログラムに参加していると説明。Appleが運営するApp Storeには、同製品で製作した電子ブックがすでに100タイトル以上あり、さらに数十ものタイトルが追加される予定だという。また相当数のAndroidタブレットが年内に市場へ投入されることについても言及し、日本の出版社に対しDigital Publishing Suiteプレビュープログラムへの早期参加を呼びかけた。
その後、Digital Publishing Suiteのプレリリースプログラムを利用した日本国内での制作事例が紹介された。App Storeで発売中の三栄書房「ゴルフトゥデイ」は、ゴルフスウィングの動画や超コマ送り映像など、電子書籍ならではの動的コンテンツをインタラクティブ性の高い表現で電子ブック化したもの。ほかにもデジタルカメラや薄型テレビを対象とした電子カタログ、コミック雑誌のグラビアページをアプリ化したサンプルなどが紹介された。
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