電子書籍元年と呼ばれた2010年、電子出版物のうち雑誌分野での成功事例を1つ挙げよと言われれば、Conde NastにAdobeが全面協力して製作されたiPad版「WIRED」が思い浮かぶ。
そこで今回、米Adobe Systemsでメディアソリューションズ部プロダクトマーケティング担当バイスプレジデントを務めるRicky Liversidge氏に、同社の電子雑誌への取り組みに関する最新の状況聞いた。
--先日開催された電子出版に関するイベント「Adobe Digital Publishing フォーラム 2011」では、Adobe Digital Publishing Suiteを利用した日本国内での制作事例が発表されました。日本でも2011年から同製品が本格的に展開されるのでしょうか
Liversidge氏:そのとおり、今年から日本でも本格展開します。Adobe Digital Publishing Suiteのプレリリースプログラムに参加している企業は、全世界で3,000社以上、すでに公開しているeマガジンの数も100を超えています。日本語コンテンツはまだ数点ですが、プレリリースプログラムに参加する出版社の数は順調に増加中です。
--日本では「電子書籍」と一括りにされがちですが、Adobeでは「eブック」と「eマガジン」を明確に分けていますよね
Liversidge氏:そうですね、その2つに分かれています。私はeブックの戦略には関与しておらず、デジタルの雑誌と新聞が中心になりますが、医療や金融といった非出版系企業がコンテンツ配信を行うケースも私の担当領域です。目下のところ、そのうちeマガジンに焦点が合った状況ですね。
--2010年、米国でAdobe Digital Publishing Suiteをローンチするにあたり、Conde Nastに協力し、WIREDやThe New York Timesといったeマガジンを手掛けていますね。とてもインパクトの大きい取り組みだったと受け止めていますが、日本でも同様の“仕掛け”を考えているのでしょうか。
Liversidge氏:幸運にも、Conde Nastとは非常に強いパートナーシップを結ぶことができました。出版社のなかでも新しいことに対して前向きな企業の1つで、特にWIREDはiPadに載せるコンテンツとして理想的でした。デジタル版WIREDで関係を強化したことにより、VOGUEやGLAMOURなど他誌でも展開できたことは幸いでしたね。一度ワークフローを確立すれば応用しやすいのです。同様の取り組みを日本でも展開し、戦略的な関係を構築できればいいのですが。ところで、マーサスチュワートのeマガジン(「Martha Stewart Living digital magazine」)はご覧になりましたか?
--はい、フォーラムでも紹介していましたね。プレミアム広告の反響が上々とのことでしたが、Adobeがeマガジンにおける広告の扱いをどのように考えているかを教えてください。
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