UPDATE スペイン・バルセロナ発--Research In Motion(RIM)とNokiaの成功戦略には共通点がある。それは、携帯電話事業者が「ダムパイプ」(あるいは土管)などと呼ばれる、単なるデータを送受信するだけの存在にならないよう手助けするというものだ。
RIMの共同最高経営責任者(CEO)Jim Balsillie氏とNokiaのCEO、Stephen Elop氏はバルセロナで現地時間2月14日から開催されている世界最大のモバイル関連の展示会2011 Mobile World Congress(MWC)の基調講演で、パネリストとして一緒に登壇した。Nokiaは英国時間2月11日、大手ソフトウェア会社Microsoftとの提携を発表しており、端末メーカーである両社間の競争はさらに激化している。
11日の発表以来、Elop氏はNokiaとMicrosoftの提携を「3頭目の馬」と称している。モバイル業界がAppleの「iOS」とGoogleの「Android」プラットフォームという、2頭の有力馬の競り合いになっている現状を踏まえた表現だ。全世界のスマートフォン売り上げでは、NokiaとRIMは今でもそれぞれ1位と2位を占めているが、共にマーケットシェアをAppleやAndroidに奪われつつある。
しかし、AppleとGoogleは両社とも音楽、ナビゲーション、さらには翻訳といった付加価値サービスを提供しているため、携帯電話事業者から脅威とみなされることが多い。そこでRIMのBalsillie氏は、自らはワイヤレス通信業者のネットワークから価値を導きだす手助けがしたいと語った。この点ではNokiaのElop氏も同意見だった。
「900社もの異なる通信業者があることに一筋縄ではいかないジレンマがある。これだけの異なる通信業者を助け、(他社のサービスからの)乗っ取りを防ぐにはどうすればいいのだろうか?」とBalsillie氏は語りかけた。
Balsillie氏はRIMについて、第一にハードウェアと電子メールサービスを提供する事業者であると定義し、同社のプッシュ型電子メールサービスはスマートフォン市場の中で最もネットワーク効率が高いと発言した。同氏は、RIMの「BlackBerry」端末が消費するネットワークリソースは、競合他社の類似製品と比べておよそ半分だと主張している。また、RIMは自社サービスのセキュリティレベルをさらに高めることで、攻撃に対する対策を強化しているという。
Balsillie氏は、RIMのアプリケーションストアで重要な点の1つとして、アプリケーション内での課金だけでなく、通信事業者がアプリケーションに対して料金を請求することも可能な点を挙げた。これにより、アプリケーションやサービスをアプリケーション内で購入する消費者の利便性を高めるだけでなく、通信事業者が課金請求から利益を引き出すことも可能にしている。
「われわれはアプリケーション企業ではない。通信事業者が既に行っていることとリンクしたいというのが、われわれの考えだ」とBalsillie氏は語った。
一方、Elop氏によれば、AppleとGoogleについて語る通信事業者の言葉には、両社が実現したサービスが利益をよそへ持って行ってしまっているとのニュアンスが感じられるという。したがって、モバイル市場の「第三のエコシステム」では、通信事業者が利益を上げる仕組みを維持させることが重要だと同氏は考えている。
「この第三のエコシステムの哲学、およびNokiaが長年行ってきたことは、通信事業者とのバランスを見つけることだ。通信事業者に優しい有力陣営が必要であり、われわれの狙いは、通信事業者にとって最も優しいプラットフォームになることだ」とElop氏は述べた。
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