横幅50mmの“売れる法則”--8つの端末を提供するシャープ、ドコモ向け開発者に聞く

 シャープがこの冬春商戦に向け、NTTドコモ向けにそろえたラインアップは、Androidを搭載した3D表示が可能なスマートフォン「LYNX 3D SH-03C(SH-03C)」をはじめとして、1410万画素のCCDカメラを搭載した「SH-01C」、人気のアクセサリブランド「Q-pot」とのコラボレーションモデルである「SH-04C」、プロジェクタを内蔵した「SH-06C」やコンセプトモデル「TOUCH WOOD」を具現化した「SH-08C」など、8機種にものぼる。

 スマートフォンから普及機、コンセプトモデルなど、1社で全方位のラインアップをそろえることに、どういった狙いがあるのだろうか。市場の変化に合わせた同社の取り組みについて、通信システム事業本部 パーソナル通信第一事業部 商品企画部 部長の木戸貴之氏と、同主事の岡安昌利氏に聞いた。

「今は、3Dを取り巻く状況が変わった」--7年ぶりの再チャレンジ

  • 木戸貴之氏

 この冬春商戦に向けたシャープのNTTドコモ向け端末は、スマートフォンから普及モデルまで8機種をそろえており、その中身も非常に多岐にわたる。これだけのバリエーションをそろえた理由は、買い換えサイクルの長期化にあるという。さらに木戸氏は、「カメラや液晶など、商品の機能そのものの進化が鈍化していることもあり、購入される端末の傾向がはっきりしてきている。メーカーとしては買い替えてもらう必要があるものの、継続的な進化だけでは買い替えに至らなくなってきた。定番なものは定番としてそろえる一方で、デザインやハード面などで新しい要素を取り入れ、幅広いユーザーの嗜好に合わせる必要がある」と語った。

  • 裸眼での3D表示に対応した「SH-03C」

 今商戦のメインとなるのは、裸眼でも3D表示が可能なディスプレイを搭載したSH-03Cだ。これについて木戸氏は、「3D表示ができるディスプレイ自体は、2002年のSH251iSと、2003年のSH505iに搭載したことがあるが、当時はコンテンツの広がりを得られなかった。現在は、映画やテレビ、ゲームなどで3Dのコンテンツが増加しており、市場も盛り上がりつつあるなど状況が大きく変わっている。液晶テレビのAQUOSだけでなく、モバイルも含めて3Dの世界を広げていきたい」と話している。

 3Dディスプレイをスマートフォンに搭載した理由について、「3Dディスプレイは、ハード的にいうと液晶の張り合わせで実現するため、厚みや重さが増す上に明るさが一般的な液晶の半分になるなど、技術的課題が大きい。そうした技術的課題をクリアするのに、(タッチタイプの)スマートフォンが適していた」と説明した。

  • 岡安昌利氏

 3D以外の特徴として、岡安氏は「今までの携帯電話で当たり前の機能である、おサイフケータイや3D表示に対応したワンセグ機能、赤外線などの定番機能を搭載することで、買い替えをスムーズに促進できるようにした。また日本の携帯電話ユーザーを意識する上で重要な機能として、今まで使っていたカメラより画質が落ちるのは困るという人も多いことから、960万画素のCCDカメラを搭載している」と話しており、日本の携帯電話に搭載されている機能を強く意識しているという。

 さらに木戸氏は「基本的には好きなアプリケーションをダウンロードして使えるAndroidのスマートフォンだが、日本の人でも満足して使ってもらえる機能を用意した。spモードメールの対応で、携帯電話端末から乗り換える上でのネックとなる要素が大幅に解消されたことから、スマートフォンの普及に弾みがつくのではないか」と話し、今後のスマートフォンの広がりを示唆している。

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