3Dのコンテンツがそろってきているとはいえ、スマートフォンサイズのディスプレイで立体感のある映像を見せるには、Blu-rayなどの素材をそのまま持ってくるだけではダメなのだという。「独自のノウハウが必要となる」と木戸氏は話す。「SH-03Cに搭載されているコンテンツは、ほとんどすべてが撮り下ろしのもの。映画『鉄コン筋クリート』のトレーラー映像なども入っているが、これも3D版の公開に合わせて、独自のトレーラー映像を作ってもらった」という力の入れようだ。
では実際、どのような工夫をしているのだろうか。木戸氏によると「CGなどは飛び出す映像が、実写は奥行き感のあるものが立体感を得やすい。内蔵されているYELLOW BRAINのコンテンツ『座標染色体xyz』も、奥行き感のある場所を選び、実際に立ち会って見え方を確認しながら撮影を進めた」と話しており、他のコンテンツに関しても制作段階からチェックを入れながら制作したという。
しかし内蔵のコンテンツでは、コンテンツの数が不足するという問題が出てくる。木戸氏は、「メーカーサイトの『GALAPAGOS SQUARE』からアプリケーションをダウンロードすることで、3Dの動画や静止画を体験してもらうという取り組みを実施している」と話した。
見るだけでなく、作る楽しみもSH-03Cには用意されている。岡安氏は、「カメラを右にずらすことで3Dの写真を撮影できる。さらに2Dの静止画を後から3Dに変換する機能も備えている。3Dの写真や動画を募集する『シャープ3Dコンテスト』なども実施しており、3Dの体験をしてもらって認知を進め、実績を作ることでコンテンツホルダーにも働きかけていきたい」と話しており、コンテンツの幅を広げる取り組みを進めているとした。
キャリアが主体となっていた従来の携帯電話向けコンテンツと異なり、スマートフォン向けのコンテンツは自由度が高まる分、コンテンツを調達し、配信するという負担をメーカーが抱えることにもなる。これについて木戸氏は、「確かに今まであまりやってこなかったところ。内蔵コンテンツの調達なども手探りで始めており、色々勉強させてもらった。モバイル向けの3D動画フォーマットも標準化されているものがないため、MP4やWMVなど一般的に使われているフォーマットを用いているが、この手法を広めていく取り組みを自社でする必要がある」と話しており、経験のない分野での苦労があることをうかがわせる。
しかし一方で、木戸氏は「3Dはインパクトこそ大きいものの、放送やDVDは大きく広がっていない。だがスマートフォンは回りだすと一気に広がるのではないか。配信についても、現在電子書籍主体で展開しているサービス『GALAPAGOS』を映像などにも広げていく可能性もあり、そうしたところで有料配信なども考えられるだろう」とし、スマートフォンでの3Dコンテンツの広がりに期待を寄せた。
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