凸版印刷、インテル、ビットウェイの3社は1月20日、電子書籍市場の早期拡大へ向け協力することで合意したと発表した。ビットウェイは凸版印刷、およびインテルの投資部門であるインテル キャピタルから第三者割当増資による投資を受け、電子書籍事業を行う100%子会社「株式会社BookLive(ブックライブ)」を1月28日に設立。2月上旬よりクラウド型電子書籍ストア「BookLive!」の運営を開始する。
BookLive!では、2月上旬にPCおよびAndroid対応端末向けの電子書籍配信サービスを開始する。コンテンツは、コミック、小説、実用書などを中心に、サービス開始時に3万点をそろえ、2011年春までに10万点に増やす予定という。
ブックライブの資本金は16億円。代表取締役社長には、現ビットウェイ常務取締役の淡野正氏が就任する。凸版印刷 常務取締役 情報コミュニケーション事業本部長の大湊満氏は、2015年における国内での電子書籍市場規模が1600億円に達するという予測をひき、3社の協業で「50%のシェア獲得を目指す」と述べた。
今回の協業における各社の役割として、凸版印刷は、今回の投資を通じてビットウェイを中心とした電子書籍事業の強化を図り、同事業によって構築したビジネスプラットフォームを流通、通販、教育市場といった他の市場への展開も模索していくという。トッパングループとして携帯電話向けコミック配信などを手がけるビットウェイは、電子書籍市場に向け、デジタルコンテンツ流通プラットフォームの提供、および取次事業などを担っていく。ビットウェイは電子書籍流通事業の強化にあたり、既にブックリスタとも連携しているが、さらに紀伊國屋書店やシャープなどが提供する電子書籍事業へも対応する方向で協議を行っているという。またインテルは、ブックライブの事業について、電子書籍プラットフォーム環境の構築や電子書籍のビューワアプリケーションの開発などに関する技術協力を行うという。
ブックライブは、雑誌コンテンツの配信に、出版社との協業で動画やCG、広告との連動など、新しい表現手法や販売方法の確立を目指すという。また、日経BPとの協業により、同社の持つ編集ノウハウを活かした新しい電子雑誌の開発を行う予定としている。ビットウェイ 代表取締役社長の小林泰氏は、ビットウェイとブックライブの役割分担として「ビットウェイはコンテンツアグリゲーション、ブックライブは読者とコンテンツが出会う場の醸成にそれぞれ注力する」と説明する。
ブックライブの社長に就任予定の淡野氏は、「新たな販売モデルとして、雑誌コンテンツ電子化にあたっての定期購読サービスや広告連携サービスなどを、出版社らと連動して開発していく」とした。また、BookLive!のサーバ上に「My書庫」と呼ばれるユーザー情報の管理機能を用意し、購入したコンテンツについては、PC、iPadを含むタブレット、スマートフォンなどのさまざまな端末から閲覧可能にしていく方針を示した。また、他の電子書籍書店との提携により、BookLive!以外のサイトで購入したコンテンツもMy書庫で管理できるようにする構想も進めているという。
なお、今回のBookLive!のサービス開始にあたり、出版社では、講談社、集英社、小学館、新潮社、日経BP、文藝春秋、端末メーカーとしては、東芝、NEC、オンキヨー、ASUS、デル、HTC、LG電子、サムスンといった企業が賛同企業として名乗りを上げている。
今回の出資によるトッパングループとの協業強化の理由について、インテル キャピタル ジャパン マネージングディレクターの出川章理氏は、「電子書籍市場はイノベーションの最前線。日本がコンテンツ、ブロードバンド、端末機器といった分野で世界をリードし、爆発的な成長をする条件がそろっている」と述べ、成功裏に進んだ際には、日本でのモデルをグローバルにも展開していく考えを示した。
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