今回のブログは、これまでのような基調講演レポートではない。通常、基調講演のレポートではスピーカーが述べたことや発表したことを書く。だが、米ラスベガスで開催された「2011 International CES(Consumer Electronics Show)」で米国時間1月5日、Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏が行ったオープニング基調講演で面白かったのは、Ballmer氏が言わなかった部分にある。
Ballmer氏は「Windows Phone 7(WP7)」の販売台数について触れなかった(Microsoftは先ごろ、WP7の販売台数は150万台だったと述べた。同社はその後、これらはキャリアに出荷した数字であり、実際に顧客向けに販売した台数ではないと認めた)。
Ballmer氏は「Windows 7」の売り上げに関する数値も出さなかった。
Ballmer氏はまた、「Apple TV」や「Google TV」への対抗計画も明かさなかった(あるいは、なぜ対抗する計画がないのかについても説明しなかった)。
最も気になったのは、スレート市場の取り組みについて、これまでMicrosoftが明らかにしてきたこと--つまり、Windows 7はスレート/タブレットOSとして優れており、今後2年以上にわたってMicrosoftがパートナー企業に提供するOSであること--以外のことを、Ballmer氏が語らなかった点だ。わたしはスレート/タブレットOSとしてのWindows 7に関するMicrosoftの意見に同意しない。その理由は、市場に登場したWindowsスレートのうち最も魅力的なものを見てみても、1.高価、2.バッテリ持続時間が少ない、3.重たい/かさばる、4.タッチセントリックではない、のどれか(または、すべて)にあてはまるからだ。
Ballmer氏は以前、「iPad」に対するMicrosoftとパートナー企業の回答は2011年に登場し、Intelの「Oak Trail」を搭載すると述べた。CESでは、Oak Trailを搭載したSamsungの最新の「Sliding PC」を披露した以外、Microsoftの幹部らはこの分野について語ることはなかった。
Ballmer氏は、次期版Windows(Ballmer氏は「Windows 8」とは呼ばなかった)はARMで動くと繰り返し述べた。また、「Kinect」センサーを60日で800万台販売したことも明かした(だが、800万台はチャネル向けに出荷した台数であって、消費者向けの販売台数ではないことには触れなかった。だから、実際に消費者が購入した台数はわからない)。そして、「Xbox Live」でKinectからNetflixとHuluを操作できるようにするとも述べた。それから、薄型(で、価格も下がると期待したい)「Surface 2.0」プラットフォームを2011年中に提供することも明らかにした。
Ballmer氏のスピーチでわたしが最も興味をそそられたのが、終わりに述べた「現在、そして将来、どのデバイスを利用するにしても、そこにWindowsがあるだろう」という部分だ。
わたしは、Ballmer氏はこの言葉を通じてMicrosoftの長期的目標を語ったのだと信じている。Windows(「Windows Compact Embedded」「Windows Phone OS」などのような変種ではなく)を、開発者が開発し、コンシューマーが動かす偏在的なOSにする、という目標だ。しかし、これは2011年に実現はできないだろう。ずい分先の話になりそうだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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