今回の1930年代以降最大の大不況は、あらゆる職場に混沌をもたらしている。その過程で、信用の大本が揺らいでいる。
コンサルティング企業Deloitte LLPが実施した調査「2010 Ethics & Workplace Survey」によれば、今日では、働く米国人の3分の1が、経済状況が好転したら新しい仕事を探すつもりだと述べており、そう答えた人の48%が、その理由として雇用者に対する信用を無くしたことを挙げている。さらにこの調査では、Fortune 1000の役員のうち65%が、今後の増える可能性のある自主退職の原因の1つに、信用の問題があると考えていることを明らかにしている。
また、これはPR会社大手のEdelmanが毎年実施している、信用と信頼性についての調査「2010 Edelman Trust Barometer」で明らかになったことだが、今回、近年では初めて、米国では企業の評判に対し、製品やサービスの品質よりも信頼や透明性の方が大きな役割を果たすようになったという。
Edelmanの調査によれば、米国における企業の信用は前年に比べわずかに上昇したものの、2009年に20%も急落したことを考えると、その伸びはわずかだ。企業に関する信頼できる情報発信者のランキングでは、最高経営責任者(CEO)の順位は低く、世界の人の70%近くは、経済が復調すれば、企業は「いつもの状態」に戻るだろうという意見を持っている。
職場における大きな裏切りは、一時解雇の処置を大きく誤った企業から、犯罪や不品行を犯したCEOまで、あらゆることがニュースの見出しになり得るし、実際に最近はニュースになっている。確かに、こういった背信行為は大きな問題であり、多くの場合ニュースにするだけの価値がある。しかし、問題なのはこういったことばかりではない。
ゴシップを流す、責任のなすり合いをする、他人の業績を横取りするなどの小さな裏切りは、大きな裏切りに比べるとより一般的に起こっており、ゆっくりと信用を失わせていく。多くの職場では、こういった「小さな」裏切りの積み重ねが大きな問題となり、従業員の自信、貢献意欲、活力に悪影響を与えている。さらに、われわれの調査によれば、被雇用者の90%が、毎日のように失われた信用の影響を感じていると報告している。それに加え、こういった裏切りは普遍的なものだということが分かっている。誰もが裏切られ、誰もが他人を裏切っている。
信用を回復しなければ、しっぺ返しを食らうことになる。
職場での信用が失われたままだと、全員が負けることになる。個人も、チームも、組織も勝つことはできない。
またその結果、高い代償を払うことになる。まず「明白な」問題として、生産性、業績、収益に影響が出る。
では、隠れた問題にはどういったことがあるだろうか。被雇用者は聞き取り調査で、「自分の気持ちはもうこの会社にはない」「自分は自分のことだけを考える」と言っている。チームメンバーたちは、「わたしたちは大きな視点から考え、リスクを取ることをやめた」と告白している。また、リーダーたちは「活力、情熱、創造性を失った」と報告している(「自分たちがうまくやれるよう願っている」とだけ、決まり悪そうに話す者さえいた)。
しかし、失われた信用の問題が魔法のように消えることはないし、再構築のプロセスに近道はない。
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