Net Applicationsの推計によれば、2010年最もシェアを増やしたウェブブラウザは「Google Chrome」、最もシェアを減らしたのは「Internet Explorer」(IE)だった。Google Chromeの1月のシェアは5.22%だったが、11月までに4ポイント増やし、9.26%とした。一方のIEは1月の時点で62.12%だったが、11月には58.44%に下げている。
Google Chrome以外にシェアを伸ばしたのはAppleの「Safari」。1月の4.53%から5.55%に1ポイント増やした。Mozillaの「Firefox」は24.43%から22.76%へ、Opera Softwareの「Opera」は2.38%から2.20%にそれぞれシェアを落とした。2010年の最終的なシェアはIE、Firefox、Chrome、Safari、Operaの順になるとみられる。この記事では各ブラウザベンダーの2010年の動きを振り返る。
Microsoftは9月15日に、「Internet Explorer 9」(IE9)ベータ版を公開した。HTML5などのウェブ標準やグラフィックチップを利用するハードウェアアクセラレーション、大幅に高速化されたJavaScriptエンジンなど多くの改良が施された。
MozillaはFirefoxのモバイルへの取り組みを強化した。8月にFirefoxのブックマークや履歴などをiPhoneと同期できるアプリ「Firefox Home」を公開した。10月にはAndroid向けに「Firefox 4」のベータ版を公開した。ブラウザエンジンは通常版のFirefoxと同じものが使われており、タブ、ブラウザ履歴、パスワード、ブックマークを複数のPCやモバイル端末のFirefoxと同期できる。
Googleは1月に「Google Chrome 4」の正式版をリリース。同バージョンで拡張機能「Chrome Extensions」に対応した。1年間通して頻繁にアップデートし、12月には早くもChrome 10開発版が登場した。Chrome 6以降は6週間ごとにメジャーアップデートするという驚異的なスピードで進化している。最も注目すべきは12月にオープンした「Chrome Web Store」だ。ウェブアプリや拡張機能を有料/無料で提供する。ウェブアプリをネイティブアプリに近い感覚で利用できるため、2011年に本格展開するChrome OSにおいても重要な役割を担うことになりそうだ。
Appleは6月、Safariを1年ぶりにメジャーアップデートし、「Safari 5」をリリースした。Safari 4から最大30%の高速化を実現したほか、記事閲覧機能「Safari Reader」、拡張機能「Safari Extension」を搭載した。11月にアップデートされたiOS 4.2.1により、iPhoneのブラウザもSafari 5となった。Safari ReaderやSafari Extensionには非対応だが、HTML5のサポートは強化された。
Operaは10月に「Opera 11」アルファ版を発表した。大きな特徴はついに拡張機能を搭載した点だ。W3Cの定めるWidgetの仕様をベースに、HTML5やCSS、JavaScriptなどのウェブ標準技術を使って開発できるようにし、ほかのブラウザの拡張と互換性を持たせることを目指している。正式版は12月にリリースされた。
各ベンダーとも製品をアップデートしたこと加えて、Microsoftが3月から欧州においてブラウザの選択画面を提供したことも注目だ。既定のブラウザとしてIEを使用しているユーザーは、ブラウザ選択画面に主要なブラウザがランダムに表示され、インストールできるようになっている。このブラウザ選択画面は「Windows XP」「Windows Vista」およびWindows 7を使用している欧州のユーザーに、Windows Updateを通じて5年間提供される予定。今後もブラウザシェアに影響を与えそうだ。
また上記主要ブラウザ以外では、11月に公開された「RockMelt」が話題となった。オープンソースの「Chromium」をベースに開発され、Facebookと深く連携するソーシャル機能が特徴。利用するにはFacebookアカウントでログインする必要がある。左側のサイドバーにはFacebookの友達を表示し、すぐに友達の近況を確認したり、チャットを開始したりできる。ベータ版ながら招待機能によって瞬く間に広まったブラウザだ。
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