同じ意見は、Children's Hospital Oakland Research Instituteでシニアシステムアナリストを務めるBen Hanes氏からも聞かれる。同氏の所属部門では初期費用にさほどこだわらないという。Hanes氏は、それよりも「長期的に見てサポートにどれほどのコストがかかるかを重視する。われわれは、Mac OSよりもWindows OSのサポートにずっと時間をかけている」と述べ、1台のPCをサポートするのにかかる工数は1台のMacの約3倍と見積もっている。よって、初期費用が高くても、それに見合う投資になるとHanes氏は考えている。
このようにMacに対する考え方が変わり始めるにつれて、Enterprise Desktop Allianceでは、企業システム全体の中で2009年には3.3%だったMacのシェアは、2011年には5.2%に上昇すると予測している。それでも大きい数字ではないが、成長率にすれば相当なものになる。前述のEnterprise Desktop AllianceによるIT管理者を対象とした調査によると、2009年から2011年までの間に企業に追加される新しいシステムのうち、4台に1台がMacになる予定だという(ただし、その多くはすでにAppleマシン導入実績のある企業の回答)。
しかし、本格的な前進を果たすには、Appleは「無信仰者」をも改宗させる必要があるだろう。そこでUnisysの出番となるはずだ。大企業や政府機関に対してMacやその他「i」の付くApple製デバイスを販売しサポートするUnisysの契約は、Appleにとっては様子見のための実験なのかもしれない。しかし企業向けコンピュータ市場が、不況の影響で2年ほどコスト削減に走った後にようやく回復の兆しを見せ始めた今は、その試みに適したタイミングといえる。
とはいえ、今後数年の間にAppleがこの取り組みにどれほど重点を置くかはまだ大きな疑問だ。結局のところAppleは、伝統的にコンシューマーを中心とした企業であり、社内で最も重視されるのは、Jobs氏自身が関心を持ったプロジェクト(例えばiPad)だ。企業向け販売という比較的新鮮味の薄い課題にJobs氏がどれほどのエネルギーを注ぐかはわからない。しかし、IDCのShim氏は、Appleがこのビジネスをどのように見ていくのかを今後数カ月間、数年間で読み取れるような判断材料がいくつかあると言う。
「Appleがこの分野にどれほど注力しているのかを最終的に判断する上で決め手となるのは、同社がどのようなアプリケーションを投入してくるかだ。それがコンシューマー市場の経験でわかったことだ。差別化要因となるのは独自のエクスペリエンスであり、同社はコンシューマー分野ではそれに成功した。他のどの会社よりもうまくやった。そこで問題となるのは、同社が企業分野で、あるいは大企業分野でどのようにそれを行うかだ」(Shim氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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