ここで、未デジタル放送化世帯16.2%に目を向けると、さらに気になるデータが出ている。「地上デジタル放送対応受信機を保有していない理由」(複数回答)において、トップの「視聴できなくなるまで時間的余裕がある」(71.6%)に次いで挙げられているのが「経済的に対応する余裕がない」(36.8%)だからだ。
「何も10万円の大型、薄型テレビを購入してほしいという話ではない。現状、外付けチューナは4000円程度まで価格が下がっている。それをご存じない方も多いかと思われるので、対応方法をご理解いただけるよう周知していくことになる」(総務省)。安価なチューナの存在を周知することが普及対策とみているようだ。
しかしこの考えと実際の調査結果には隔たりがある。未対応世帯16.2%のうち、12.4%までは「アナログ放送終了までに対応する予定」と回答している一方で、その対応方針は「チューナ内蔵型テレビ」(65.0%)の購入が圧倒的。外付けチューナを挙げたのはわずか6.4%に過ぎない。つまり、ここまでは「地上デジタル放送=次世代型テレビ」のイメージ戦略、さらにエコポイントによるメリット増によって大型、薄型テレビの普及に成功してきたものの、相対的に見れば外付けチューナのイメージダウンが低いという、裏目の影響が出ている。
ある大手メーカーは「LEDバックライト搭載モデルや3Dテレビ、IPTVなどの展開を積極的に進めており、外付けチューナはすでに生産終了。今後、新たに展開する予定もない」と、利益率の低い外付けチューナの駆け込み需要をまったく見込んでいないという。
JEITAも「外付けチューナは機器としての付加価値が少なく、単なる置き換え機器。商品としての魅力を感じてもらいにくく、販売店も積極的に売り込めない」と分析する。
それでも総務省は「現実的な選択として、外付けチューナに落ち着く可能性は高い」との見方を示しており、2〜3台目として需要が増えることも見込んである程度、メーカーが準備を進めてくれることに期待を寄せる。一方、メーカー側としては一向に止まらない大型、薄型テレビの価格下落に加え、2011年7月までの一斉買い替えによって2012年以降の需要が一気に下がることを警戒する見方が強く、現時点で在庫を抱えるリスクは避けたいところだ。メーカーが「現実的な選択肢」をどこに設定するのかが、年収別普及率の格差を埋める上で大きな鍵を握ることになるのではないだろうか。
(後編へ続く)
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