日本オラクルは10月19日、業界初という16コアの新プロセッサ「SPARC T3」を搭載した新サーバ「SPARC T3システム」シリーズと統合型ストレージアプライアンス「Sun ZFS Storage Appliance」シリーズ、UNIX OSの「Oracle Solaris」の提供開始を発表した。
今回発表されたのは、買収したサン・マイクロシステムズの製品。この9月に開催されたオラクルのプライベートイベント「Oracle OpenWorld 2010」で最高経営責任者(CEO)のLarry Ellison氏が話していたように、オラクルは旧サン製品への投資を強化しており、今回サンから継承した製品を具体的に発表したことになる。
SPARC T3は1つのチップの上に最大16コアを搭載し、128スレッド(独立して実行可能なプログラムの単位)を処理できる。これは従来のプロセッサと比較して2倍の同時実行スレッド数だ。10ギガビット・イーサネット(GbE)コントローラを内蔵することで、ネットワークへの負荷がかかる大容量のコンテンツ処理を促進して、ストレージのボトルネックを排除できるという。また、セキュリティの分野として暗号化コプロセッシングエンジンを搭載。ソフトウェアで暗号化するのに比べて「数倍の性能で処理することができる」(米OracleのシニアディレクターのShane Sigler氏)という。
SPARC T3を搭載するSPARC T3システムシリーズは、計4モデルが発表されている。ブレードの「SPARC T3-1B」は1ソケットでSPARC T3が1つ、同時実行スレッド数は128。ラックマウント型では「SPARC T3-1」「SPARC T3-2」「SPARC T3-4」の3モデル用意されている。
エントリモデルのSPARC T3-1はSPARC T3-1Bと同じく1ソケットでSPARC T3が1つで16コア、スレッド数は128。ミディアムスケールに向くというSPARC T3-2はソケット2つでSPARC T3が2つで32コア、スレッド数は256になる。ハイエンドモデルのSPARC T3-4はソケット4つでSPARC T3を4つ搭載でき(コア数は64)、512スレッドを処理できる。
SPARC T3システムはOracle Solarisと仮想化基盤「Oracle VM for SPARC」(旧Sun Logical Domains)で稼働する。データベースソフト「Oracle Database」やミドルウェアソフト群「Oracle Fusion Middleware」、アプリケーション群「Oracle Applications」と統合されているという。既存の「Sun SPARC Enterprise T」シリーズと比較して2倍の性能向上が図られているとしている。
オラクルは、SPARCシリーズのロードマップを明らかにしており、「2年ごとに2倍の性能向上を図る」(Sigler氏)と説明している。今後5年でコア数が4倍、スレッドが32倍、メモリ容量が16倍、Javaの実効性能を10倍にするロードマップとなっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」