MicrosoftはクラウドOS「Windows Azure」を提供しているが、つい最近までAzure上で動く自社製品やサービスの数は少なかった。
現在、Azureをベースにしているのは、「Live Mesh」の一部、消費電力追跡アプリケーションの「Holm」、「HealthVault」の一部などだ。だが、「Hotmail」「CRM Online」「Business Productivity Online Suite(BPOS)」などのホスティングアプリケーションはAzureを利用していない。
Azureへの信頼性がいまだに少ないことは、Microsoftが社内でAzureを利用していないことと関係あるのではないか、それとも「現実世界の」アプリケーションやサービスで利用するには、単にまだ試用実績が少なく、実証されていないからなのか、と以前Microsoftに聞いたことがある。
わたしの質問に対するAzureのリーダーの答えは、社内と顧客向けの新しい次世代のアプリケーションがそう遠くない将来においてAzure上に登場するのを期待していてほしい、というものだった。実際に、ここにきて少しずつ動きはじめたようだ。
Microsoft Researchは米国時間10月18日、「WikiBhasha」のベータ版を発表した。WikiBhashaは、WikipediaとMicrosoftが共同開発したマルチ言語コンテンツ作成ツールだ。MediaWikiの拡張で、ベータ版はApache License 2.0の下、ユーザーガジェットとブックマークレットの両方の形でオープンソースとして提供される。ブックマークレット版はAzureでホスティングされている。
ゲームでもAzureの利用が始まっている。Microsoftは10月、“Windows Gaming Experience”チームによるAzure上での「Bing Games」のソーシャル機能拡張の構築事例を発表している。それによると、チームはわずか5カ月でいくつかのホスティング型ゲームサービスを構築したとのことだ(ゲームそのものがAzureでホスティングされるのではない。開発したのは、セキュアトークン、スコアボード、ゲームの好みに関する設定などの補完サービスだ)。チームはAzureがホスティングするコンピューテーションとストレージ要素を利用して、これらのサービスを構築した。6月のローンチ時には、約200万人という同時ゲーマーがアクセスできたという。その後、「対応ユーザーの総数は5倍」に拡張したとMicrosoftは主張している。
Microsoftがダウンロードセンターに掲示した記事によると、同社は次世代の「IntelliMirror」製品/サービス構築でもAzureを検討しているようだ。現在、IntelliMirrorは「Windows Server」に組み込まれた管理機能だが、将来的には(最初に掲載された記事によると「Windows 8」の頃という)これらのサービスのいくつかをクラウドでホスティングする可能性もあるという。
以下が10月15日付けのIntelliMirrorに関する記事だ。
IntelliMirrorサービス管理チームは、Microsoftの他の商用顧客と同様に、Windows Azureクラウドプラットフォームを使ってIntelliMirrorで必要とされるDPM(データ保護マネージャ)の代替となるソリューションを構築できるかどうかを検討しているところだ。IntelliMirrorサービス管理チームは、Windows Azureの柔軟性について、正しいリソースを必要なときに必要な分だけ提供することでサービスへのユーザー需要の増加に対処するため、好機ととらえている。
クラウドへの移行にあたって、最初の段階はすでに始まっている。まず、IntelliMirrorサービス管理チームはサービスの一部でオンプレミスとクラウドのメリットを比較する目的で、2011年前半までに、一部のIntelliMirrorとDPMクライアントサーバーでパイロットを設定する計画だ。
いつ(そもそもその可能性があるのかどうか)MicrosoftがHotmail、Bing、BPOSをAzureに移行するのかについて、具体的な時間枠は明らかにされていない。現時点では、これらのサービスはMicrosoftのデータセンター上で動いているがAzureが動くサーバーではない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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