MicrosoftのクラウドOS「Windows Azure」はある意味、ベータリリースされた2年前からあまり変わっていないように見える。だが、別の意味では--機能、組織、マーケティングなどの面から見ると--、Azureは特にこの1年で大きく変化している。
Windows Azureは約150人程度のチームでスタートした(当時は、「Red Dog」という開発コード名で呼ばれていた)。今日、Azureチームは1200人強を抱えており、先日加わったテクニカルフェローのMark Russinovich氏などの大御所が参加する一大プロジェクトとなった。この6カ月、AzureチームとWindows Serverチームはスタッフとリソースを合わせて1つのグループに統合する作業を進めてきた。同時に、AzureチームはWindows Azureの有料化を開始した。また、コンテンツ配信ネットワーク、位置情報、シングルサインオンのような新機能を付加し、Azureを自社プライベートデータセンターで動かすことに興味ある企業向けに、「Windows Azure Appliance」計画も発表している。
Azureは今後数カ月でさらなる進化を予定している。Microsoftは現在、顧客が自社のAzure環境にバーチャルロールを付け加えられる機能を準備しているところだ。また、ユーザーがオンプレミスとクラウドインフラを容易に結び付けられる機能(開発コード名「Sydney」)も計画している。だが最大の変更は、マーケティング側だろう。MicrosoftはAzureを開発者だけではなく、あらゆる規模のビジネス顧客向けとしても位置づけようとしている。
Microsoftのサーバとクラウド事業を統合した部門でシニアバイスプレジデントを務めるAmitabh Srivastava氏は、スタート時からWindows Azureチームを率いてきた人物だ。Srivastava氏は、Windows Azureは最初に構築した当時から土台部分は変わっていないと言う。中核部分は、コンピューティング、ストレージ、ファブリックコントローラ(管理と仮想化を提供)と、同じビルディングブロックで構成されている。“ウェデングケーキ”こと、Azureの詳細を図式化した最新のアーキテクチャ図は、Red Dogの最初の計画とほとんど同じ--少なくともOSレベルでは--になっている。
Microsoftがこの1年、Azureで行ってきた作業はどちらかというと地味であまり表面に出ておらず、水面下での作業となっている。Azureチームは定期的にAzureプラットフォームをアップデートしており、週単位、ときには日単位のこともある。Microsoftは意図的に、Azureの「大々的なリリース」を行わない方針にしている。Azureチームは機能ではなく、“シナリオ”に基づいて設計している。いくつかのシナリオ--予定しているVMロールなど--は、完成に1年あるいはそれ以上の期間を要する。それよりもマイナーなユーザーインターフェースの変更のようなものは実現までの期間が短く、比較的早く利用できるだろう。
これらの小さな変化がAzureに積み重なっていくことになる。
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