これがこのデバイスに対するわれわれの最大の不満だが、その他については大変気に入った。小型の電子書籍端末を好まない人もいるが、PRS-350のサイズは、コートのポケットやハンドバッグに入れることができて、ほとんど重さを感じない電子書籍端末を持ち歩きたい人には非常に魅力的なものだ。とはいうものの、PRS-350は目があまりよくない人向きの電子書籍端末とは言えない。また、このデバイスはPDFファイルに対応しており、拡大表示機能も付いているが(他にWordファイルやテキストファイルにも対応している)、画面が小さいため、PDFファイルの閲覧に向いているとは言い難い。しかし、コンパクトなものを探しているのであれば、これこそ求めているもの(しかも小さすぎない)だろう。
サイズボタンを使えば、6つのフォント設定(特小、小、中、大、特大、特特大)から選択できる。絶対的なフォントサイズは書籍によって異なるが、5インチ(対角線の長さ)の画面はあまり広いものではない。あるケースでは、「大」のフォントサイズにしたところ、1行あたり約4ワードで、11行しか表示できなかった。別のケースでは、15行から17行だった。しかし、「中」のフォント設定では、1行当たり約10ワードで、約24行のテキストを表示でき、これはかなり優秀だと言えるだろう(注記:手動で画面の縦横を切り替えることも出来るが、読書をするにあたっては、われわれは横向きにしての表示はあまり好きではなかった)。
ソニーの電子書籍ストアから電子書籍をダウンロードするためには、ソニーのデスクトップアプリケーションを、自分のMacかWindowsのコンピュータにインストールする必要がある。その上で、購入した電子書籍をUSBポート経由でデバイスに読み込ませることになる。あるいは、(これがこのデバイスの長所の1つだが)他のサイトからePub形式の電子書籍をダウンロードし、デバイスをデスクトップアプリケーションに接続していると表示されるアイコンに、それらの本をドラッグ&ドロップして転送してもいい。例えば、「epubbooks.com」から、パブリックドメインの本を無料でダウンロードすることもできる。また、自分の地域の図書館が対応していれば、図書館からePub形式の書籍を借りることもできる。NOOKもこの機能を持っているが、現時点ではKindleにこの機能はない。
全体的に言えば、ソニーの電子書籍ストアは豊富なタイトルを提供してはいるものの、AmazonのKindle StoreやBarnes & Nobleの電子書籍ストアの水準には今一歩及ばない。また、本記事執筆時点では、ソニーの電子書籍ストアで購入した本を、iPhoneやAndroidデバイスで読むためのアプリが提供されていないことも指摘しておくべきだろう。同社によればアプリは開発中だということだが、新型のSony Reader発売までに用意されているべきだった。Amazon、Barnes & Noble、Kobo(米大手書店Bordersの電子書籍でも使われている)は、すべて複数のデバイス間で持っている書籍を同期できるアプリを提供している。
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