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解説:富士通の「京」出荷開始で改めて考える次世代スパコンの存在意義 - (page 3)

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 先の事業仕分けをきっかけに、京の役割は、国民の利益としていかに貢献することができるのかといった点が大きくクローズアップされはじめた。科学技術計算分野、産業分野における活用による国際競争力の強化へとつなげるほか、国民生活を豊かにし、緊急時にもその対策をシミュレーションする役割を担うことになる。

 富士通テクニカルコンピューティング・ソリューション事業本部の奥田基氏は、「京は、宇宙の真理や生命の謎といった自然の真理を追求する計算、設計方針の確認、材料選択の方向性など研究開発に直結する計算、または大規模災害対策、新たなウイルスへの対策など、緊急計算での活用に生かされることになる」とする。

 例えば、新型ウイルスへの対策のために、数100万もある化合物から薬の候補となる化合物をコンピュータでシミュレーションして迅速に探し出すといったことにも活用できるという。

 さらに、山火事が起こった際には、気象情報、植生や建物などの地表面データを活用して、延焼予測を行うだけでなく、人口動態、ライフラインなどの社会学データと連動して計算することで、行政の避難勧告判断に生かしたり、さらには農作物被害の予測に基づく穀物相場への影響、被害予測をもとにした火災保険の活用度合い、こうした一連の動きがもたらす株価や為替への影響までも予測が可能になるとする。複数の異なる膨大な量のデータを活用しながら行う予測は、圧倒的な計算能力がなければ成しえない。

 京は、現在の世界最高性能スパコンの約5倍の性能、企業の部門で一般的に使われるコンピュータの1万倍の性能、最新PCの20万台分以上の性能を発揮することになる。一般的な企業で使われるコンピュータで一日かかっていた計算が10秒で終わり、1週間かかっていた計算が1分で終わり、1年間かかっていた計算も、1時間で終わる性能だ。

 果たして、2012年の稼働によって、京は、どんな成果をわれわれにもたらしてくれるのだろうか。第1号筐体の出荷を目にして、そんな期待を強くした。

トラックに積み込まれ、独立行政法人理化学研究所の計算科学研究機構に向けて出荷された トラックに積み込まれ、独立行政法人理化学研究所の計算科学研究機構に向けて出荷された

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