サムスンの新タブレット端末「Galaxy Tab」--その実力と位置づけ - (page 2)

文:Andrew Nusca 翻訳校正:石橋啓一郎2010年10月01日 08時30分

 まずはハードウェアについてである。AmazonのKindleと同様の7インチサイズは、iPadが確立した10インチの標準とは大きく違い、ユーザーがこのサイズのデバイスをどう使うかはまだ見えていない。サムスンは、Galaxy Tab向けにアプリケーションの表示を修正するのは簡単で、追加となるコーディングの量も多くはないと強調しているが、このサイズからすると、スマートフォンやiPod touchのユーザーの使い方(ウェブの閲覧、ゲーム、ニュースの閲覧など)の方が、iPadが将来提供するとほのめかしているもの(完全版の雑誌を読む、双方向の教科書、コンテンツの作成など)よりも向いているかも知れない。

 筆者が言える限りでは、このデバイスの動作速度はかなり高速だが、iPhoneに対するAndroid携帯電話のように、使用感はあまりなめらかではなかった(AndroidとiOSの両方のデバイスを使ったことがあれば、この小さいが明白な違いを理解できるはずだ)。とにかく、ワイドスクリーンカレンダー、電子メール、天気予報など、iPadにあった機能はすべて備わっており、ビデオチャット、Flashのサポート、DLNAによるメディア共有といった、現在のiPadにはない機能も持っていた。これらの機能は、筆者にとってはiPadと比べて決定的な差異ではなかったが、サムスンが市場でこの製品を差別化するには役立つだろう。

 次に、今回の記者会見の陰の立て役者はサムスンのMedia Hubだった。どんな企業でも、中国企業に委託してタブレット端末の製造を委託することはできるし、これは非常によい設計のものでも可能だ。しかし、デバイスがサポートするコンテンツの、強固なエコシステムを確立するということになると、これはまったく別のことであり、十分に整ってはいるが、無個性で他の企業につなげるだけのポータルシステムを作るだけでは済まない。タブレットに映画やテレビ番組が見られる機能があるからといって、それらのコンテンツを簡単に見られるとは限らないのだ。

 サムスンは企業としての力を発揮し、MTV、NBC、Universal、Paramount、Warner Bros.とテレビ番組や映画の提供で契約を結んだ。同社はまた、それらのコンテンツをダウンロードしながら視聴でき、Media Hubが利用可能な5つのデバイスで共有可能にすることを明らかにした。

 これは、これほどの大企業としてはよく心得た動きだと言えるが、十分大きなユーザー基盤を持ち、ユーザーが企業独自のエコシステムにロックインされるように感じない場合にだけうまくいく(例:AppleのiTunes)。サムスンにとって好都合なのは、同社がすでにGalaxyシリーズのAndroidスマートフォンで同社のコンテンツ勢力を大きく拡大しているということだ(Galaxy Tab発表の週には200万台目を出荷する見込みとなっていた)。そして、同社はすでにテレビ市場では大きなシェアを持っており、このことは今は多くの人にとって重要ではないかも知れないが、近い将来重要になってくるかも知れない。

 これが、Galaxy Tabの第3のポイントにつながってくる。同デバイスが米国の携帯電話会社4社すべてで利用できるという点だ。これは、いくつかの理由から重要な動きと言える。

  • 独占キャリアになっていないことは、サムスンが携帯電話会社の間で引く手あまたであることを示している。
  • 同様に、サムスンがGalaxy Tabを次のPalm Preにしたくないと考えていることを意味している。
  • 同様に、サムスンがAT&Tと契約していない(従って3G版iPadを利用していない)顧客に対してもこのデバイスを提供できるということを意味している。このことはWi-Fiのみのモデルには影響しないが、これは可能性の問題だ。少なくとも4社の携帯電話会社のうち3社は、このデバイスを大いに売り込むだろう。

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