情報処理推進機構(IPA)は8月13日、ネット上のサービスで利用者の識別に用いられる電子的な識別子「eID」について、2009年度に実施した調査をもとにセキュリティ問題やプライバシー侵害などのリスクに対する利用者の考え方を分析、明確化し、「eIDに対するセキュリティとプライバシに関する認知と受容の調査報告書」(PDF形式)として公開した。欧州連合(EU)で同様の目的で実施された調査を行っており、報告書ではEUの結果と比較分析している。
報告書によると、日本人はネット上のサービス利用についてプライバシーを侵害される恐れがあると感じているが、その感じ方はEU市民の方がさらに強かったという。この傾向は自己防衛のためのデータ管理策にも表れており、日本人はEU市民に比べて「プライバシーを確保するためにブラウザのセキュリティ設定を変える」などの対策をあまり取っていないことがわかった。
個人情報の保護について法律を尊重しているという保証や、個人情報の利用に関する情報の開示といった情報については、個人情報の取り扱い状況を提供するよりも、法律などによる保証、ロゴやラベルの表示により安全性を示すことが有効であると考えている。また、日本人はプライバシー侵害を防ぐ責任は、利用者本人よりもサービス事業者にあると考えており、EUとは逆の結果となった。日本人はプライバシー侵害を自身で防ぐという意識が低いといえる。
サービスを利用を決定する要因について、2種類の具体的なシナリオ(モバイルSNS、電子マネー)を提示した設問では、プライバシーが最重要となったが、複数の組み合わせをもとにしてその好み(重要度)の順序を選択させる調査(コンジョイント分析)では、コストや経済価値(58.4%)、サービス(21.1%)、プライバシー(20.5%)という順番になった。
これらの分析結果から、日本人はプライバシー侵害のリスクに関して、理解や認識はしているもののEUに比べると低く、また自分自身でそのリスクを回避する意識も低いことが明らかになったとしている。
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