7月14〜16日に有明の東京ビックサイトで開催されている「ワイヤレスジャパン2010」では、KDDIの代表取締役社長兼会長である小野寺正氏が、アンビエント社会に向けたKDDIの取り組みを紹介する基調講演を行った。
まずはじめに、KDDI総研が有識者などにヒヤリングしたアンビエント社会に対するイメージを紹介。ポジティブ面では、データ津波の抑制、高齢者支援、連帯感の熟成、創造活動の支援、ネガティブ面では思考停止、プライバシーの不安、監視社会、画一的などのキーワードが浮かび上がってきたという。ネガティブ面を顕在化させないようにポジティブ面を実現することがKDDIの役割だとした。
そこで、出てきたのがモバイル・サービスの課題への取り組みだ。かゆいところに手が届く、分かりやすくて使いやすいサービスへの期待、サクサクつながる、いつでもどこでもつながる──といったインフラへの要求に応えながら、地球環境に優しく、安心で安全な通信環境を提供する社会的な責任を果たしていくためのKDDIの取り組みを紹介するとした。
サービスへの期待に応えるために必要なのは、オープンプラットフォームだという。WiMAX、LTE、CATVなど、KDDIが持っている通信手段を活用して、課金や認証を取り入れた統合プラットフォームを構築。このプラットフォームをいかにコンテンツプロバイダが扱いやすくするかが、KDDIの大きな役割だとした。そのためには、今までのEZWebのような垂直統合型のプラットフォームだけではなく、オープン型のプラットフォームを構築しなければならないとした。
オープンプラットフォームの例として、Androidを搭載したセットトップボックスを紹介。KDDIでは、CATVでもIPTVでもどちらでも使えるセットトップボックスの開発を研究所で進めている。オープンプラットフォームを使えば、携帯電話用アプリケーションと共通化することができ、携帯電話と連携しやすく、開発を効率化できる。さらにFMBC(Fixed Mobile and Broadcast Convergence :固定通信と移動通信と放送の融合) 向けのプラットフォームとしても各機器を連携させやすいとした。
KDDIでは、このオープンプラットフォームをベースにしたコンシューマー向けスマートフォン「IS」シリーズを投入。日本のケータイユーザーにあったインターフェースの採用、ワンセグや赤外線通信などの日本の定番機能を搭載、auのサービスにも対応することで、従来からある日本の携帯電話から乗り換えやすいようにしている。さらに、一般ユーザーに対して安心して使えるアプリケーションを提供するために日本向けアプリマーケットを展開しているとした。
続いて、携帯電話向けマルチメディア放送配信サービス「MediaFLO」を紹介。MediaFLOはワンセグと同じだと誤解されやすいが、KDDIが狙っているのはワンセグのような単純な放送ではなく、端末に対してコンテンツを効率よく届けられる仕組みづくりなのだという。効率のよい同報配信により、本当の意味でFMBCを構築する要素になるとした。
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