Microsoftの製品グループは現在、Appleの「iPad」への回答となる製品開発に必死になって取り組んでいる。しかし、Microsoft Researchもスレート/タブレットが関連した独自のプロジェクトを進めている。この1つが、この種のモバイルコンピューティング端末の背面に取り付ける物理的なキーボードを開発する「RearType」プロジェクトだ。
Microsoft ResearchのRearTypeは、タブレットやスレートなどの端末の背面にキーを取り付ける方法を模索するプロジェクトだ。ユーザーが端末の側面を握ればキーにリーチできる方法を探るという。
研究者はQWERTYキーボードを2つにして縦長に配置し、親指を画面表面に置いたままで残りのキーに指が届くようになっているプロトタイプを開発している(写真は、Microsoft Researchのリサーチペーパーに掲載されていた、RearTypeを使ったプロトタイプ端末の前面と背面の写真だ)。不慮の入力ミスを防ぐため、キーを有効化/無効化できるオン/オフボタンの設置は必須だと研究者は記している。
RearTypeについては、Microsoft Researchが公開した最新のリサーチペーパー「RearType: Text Entry Using Keys on the Back of a Device(RearType:端末背面のキーを利用したテキスト入力)」に詳しい説明がある。このペーパーは、独アーヘン工科大学の研究者1名とカナダのトロント大学の研究者2名とMicrosoft研究者の共著となっている。
RearTypeを担当するMicrosoftの研究者James Scott氏は、先にこのブログで紹介したモバイルプロジェクトの「Menlo/Greenfield」にも参加していた。もう1人の研究者、Shahram Izadi氏は、「SecondLight Surface」など、端末とインタラクションに関連するプロジェクトに関わってきた経歴を持つ。
RealTypeのリサーチペーパーでは、プロジェクトを以下のように紹介している。
プロジェクトの目標は、スクリーン前面を大きく変更することなく、触覚的なフィードバックとこれまでのキーボードの感覚を同時に提供し、スクリーン上のタッチとペンによる直接入力に固有の閉鎖問題を改善することにある。限られたスクリーンのスペースをとってしまうオンスクリーンキーボードを利用せず、通常の物理的なQWERTYキーボード上のタッチ入力におけるユーザーの既存スキルを活用し、高度なモバイル利用シナリオにおけるテキスト入力を可能にする。
プロトタイプを作成した後、研究者たちはQWERTY入力の専門家である調査参加者12人に試してもらったという。ペーパーによると、1時間トレーニングした後、英語での入力速度は毎分15.1語となり、「タッチスクリーンでのソフトキーボードと統計上は大差ない」としている。
RearTypeは他のMicrosoft Researchプロジェクトと同様に、製品として出荷される保証はない。
わたし個人は、PC上のソフトキーボードがあまり好きではない(購入したiPadの場合、想像していたよりも入力しやすいと思ったが)。愛用している「Kindle2」のミニキーボードは確かにデバイスの大部分を占めていると思うが、じゃまだと感じたことはない。それでも、スレートの画面後ろについたキーを使いこなせるかと聞かれると、自信がない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」