NTTドコモは7月29日、2011年3月期第1四半期(4〜6月)決算を発表した。売上高(営業収益)は前年同期比0.4%の1兆892億円、営業利益は同4.5%減の2405億円、純利益は同3.5%減の1422億円となった。
スマートフォンやPCデータ端末、デジタルフォトフレームなどで新市場を切り開いた結果、純増数が前年同期比64%増となったほか、総販売数でも2年半ぶりの増加となった。またパケットのARPU(ユーザー1人あたりの月額利用額)も増加。海外プラットフォームの成長や通信販売、オプションサービスなどでの収入が拡大したことが寄与し、前年同期比ベースで3年ぶりの増収を達成した。
第1四半期の総合ARPUは前年同期比4.6%減の5190円となっているが、パケットARPUだけで見ると同3.3%の増加。「音声収入は減ってきているが、(音声通話、パケット以外の事業である)その他事業とパケットで補えるようになってきた」(NTTドコモ代表取締役社長の山田隆持氏)。
パケット定額サービスの契約者数も2750万に達し、契約率では56%を記録した。NTTドコモでは今年度の目標として契約率63%を目指すが、山田氏はこの数字の達成に自信を見せる。
ドコモでは現在、パケットARPU向上施策として、ドコモショップに加えて量販店や一般販売店でコンテンツの利用勧奨を実施している。動画配信サービスBeeTVについては契約数が現在125万人。「いいコンテンツを増やすと一気に(ARPUが)増える」(山田氏)とした。
コンシェルジュサービスのiコンシェルは500万契約を突破し、コンテンツの数も増加している。今後は地域向けのコンテンツを強化。8月中旬からは、中小企業や個人商店が店舗情報やクーポンを配信できるBtoBtoC型のサービスも提供していく。
そのほか今後の展開としては、スマートフォンで提供しているドコモマーケットのiモード版を11月にも提供する。個人や中小企業のクリエーターがドコモ側の管理するサーバ上でコンテンツを提供できるよう、オープンなプラットフォームを構築していくという。
スマートフォンについては、既報の「spモード」を9月にも提供する。さらに第3四半期には、秋冬モデルとしてサムスン製Android端末「GALAXY S」をはじめ、おサイフケータイ対応端末やワンセグ対応端末も提供するという。
3.9世代高速通信サービス「LTE」については、「Xi(クロッシィ)」のブランド名で展開することも明らかにした。12月にも東京、名古屋、大阪地域からサービスを開始し、2010年度内に基地局1000局、人口カバー率7%を目指す。2012年度中までに3000億円規模での投資を進め、基地局約1万5000局、人口カバー率40%を目指す。
総務省主催の公開説明会でもその行方が注目される次世代マルチメディア放送については、成功のポイントとして「充実したコンテンツ」「対応携帯端末の早期普及拡大」「利用しやすい料金水準」の3点を挙げた。
特に料金水準については、「BeeTVが14カ月で125万契約を達成したのも、リーズナブルな価格設定があったから。マルチメディア放送でも300円程度の料金設定と、100〜200円程度のプレミアコンテンツを用意すること想定しているが、そのためにも設備コストを削減する必要がある」(山田氏)とコメント。受託事業者として認可を争うMediaFLO陣営より安価な設備コストで運用できるマルチメディア放送(mmbi:NTTドコモが主要株主のマルチメディア放送準備会社)のメリットを主張した。
また、2020年に向けた新しい企業ビジョンについても発表した。今後は、モバイルの枠組みを超え、さまざまなサービスと融合して多様な価値を提供することを目指してHarmonize、Evolve、Advance、Relate、Trustの頭文字をとり、「スマートイノベーションへの挑戦 HEART」とする。
決算説明会後、山田氏は記者のぶら下がりに応じた。SIMロックの解除について、ソフトバンクモバイルが「iPhoneのSIMロックを解除しない」とコメントしたと報道されている件については、「SIMロックフリーにするのはユーザーの利便性のため。総務省からもガイドラインが出された。2011年4月以降発売する端末は、オペレーションで解除できるようにする準備をしていくということ」とコメント。総務省に対してパブリックコメントを通じて「色んな事業者が同じ条件で(SIMロック解除を)やる環境を作っていただきたいと言っている」(山田氏)とした。
また、前述の公開説明会で「マルチメディア放送でMediaFLO方式が採用された場合、ドコモ陣営は端末を出さない」とコメントした件については、「これ(端末)にクアルコムのチップが載ると、当然端末は高くなる。マルチメディア放送は絶対リーズナブルでないと実現できないが、(MediaFLOのように)インフラが高くなれば、最終的にユーザーの料金に跳ね返る。それでユーザーがつくのか? 事業性が証明されればやるが、最初からやるのは難しいということだ」(山田氏)と語った。
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