7月14〜16日に有明の東京ビックサイトで開催された「ワイヤレスジャパン2010」では、NTTドコモ(ドコモ)の代表取締役社長である山田隆持氏が、世界のモバイル動向とドコモの取り組みを紹介する基調講演を行った。
世界におけるモバイルの契約数は46億。固定電話の12億を大きく上回っているという。契約数は大きく増加しており、新興国や途上国ほど増加の傾向が顕著とのことだ。
一方で、ブロードバンド化の流れはモバイル、固定ともに成長しており、通信速度は15年で約1600倍に向上したという。速度の向上については、光ファイバの導入により固定のほうが早かったが、モバイルがそれを追いかけている状態。モバイルブロードバンドの時代において、代表例がLTEとした。
これまで、2Gでは欧州、米国、日本が別方式を取るなど混在していたが、世界の主なキャリアがLTEに移行すると表明しており、今後はLTEで統一される見通し。
ドコモはLTEを12月から開始するが、増大するトラフィックへの対応も問題となる。パケットトラフィックは年々倍増しており、2010年のLTE向け設備投資は350億円。今後3年間で3000億円規模を想定しているという。当初の想定は5年間で3400億程度を予定していたが、トラフィックの問題から前倒しをしたほうがいいと判断したと明かした。
今後は、LTEの特長である「高速」「低遅延」「大容量」を生かし、これまでにないAR(拡張現実感)サービスや自動音声翻訳サービスなどを考えていきたいとした。
データ通信売上比率となる「パケットARPU」は、ドコモも2010年は音声とデータ通信が逆転する。ほかの国に比べて日本はデータ通信の比率が高いが、逆にいうと諸外国はまだまだサービスを打ってでていく余地があると語った。
スマートフォンの流れは今後も続き、2014年をめどに世界でスマートフォンと標準の携帯電話の販売台数が逆転すると言う。「これは、世界での話。日本は少し状況が違う」と前置きしながら、「日本でも同じような傾向ではないか」と語った。
一方で、新たな通信対応デバイスも登場している。「特にモバイルの世界は技術の推移が早い。(山田氏自身は)固定の経験もあるが、固定よりも3倍のスピードで技術が移っている」と語った。今後も、ネットブックや電子書籍端末などさまざまなデバイスがでてくると話した。
そういった動きの中で、ドコモはどう取り組んでいくのか。ドコモはあらゆる面で変革するため、もう一度原点に戻って洗い直す取り組みを2年前から行ってきた。端末は、ハイスペックな「90x」シリーズ、普及モデルの「70x」シリーズなど機能を中心に展開してきたが、「STYLE」「PRO」「PRIME」「SMART」といったライフスタイルから選べるように変更している。このほかにも、サービスやエリア・品質、料金、サプライチェーンなども変えたという。「顧客満足度をなんとか上げたいという運動を全社統一してやっている」と力を込めた。
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