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研究開発でも「All In」クラウド戦略を進めるマイクロソフト

文:Mary Jo Foley(Special to ZDNet.com) 翻訳校正:末岡洋子2010年06月21日 10時48分
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 Microsoftがクラウドで「All In」戦略を進めているのは製品グループだけではない。研究部門のMicrosoft Researchも、さまざまなクラウド関連プロジェクトを進めているようだ。そのいくつかは、ボストンで開幕される2010 Usenix Federated Conferencesで詳細が明らかにされる予定となっている。

 Microsoft ResearchのウェブサイトでUsenix 2010で発表される新プロジェクトを公開していたので、以下にそのいくつかを紹介する。

 「Stout: An Adaptive Interface to Scalable Cloud Storage」Microsoft Research、カリフォルニア大学サンディエゴ校

 「Stout」は、クライアントリクエスト向けの分散型輳制御技術だ。大規模なデータセンターで実装されたスケーラブルなマルチティアサービスとして配信されるアプリケーションのパフォーマンス改善を目指すものだ。このようなサービスは、遅延で動きがとれなくなり、高い作業負荷によってリクエストを落としてしまうことがしばしばある。Stoutは、こうしたアプリケーションがストレージレイヤのパフォーマンスの変動に適応できるよう支援するものだ。ホワイトペーパーでは、「Stoutは、重たい作業負荷下ではアプリケーションからのリクエストを送る前に自動的にまとめてバッチ処理する。これにより、スループットを高め、キューの遅れを防ぐことができる」と説明している。

 「The Utility Coprocessor: Massively Parallel Computation from the Coffee Shop」Microsoft Research

 「UCop」ことユーティリティコプロセッサは、「クラウドにあるユーティリティコンピューティングクラスタを使うことで、並列可能なCPUバウンドのデスクトップアプリケーションの速度を劇的に改善する」ことを目指すミドルウェアだ。コンピュータクラスタ、グリッド、ネットワークファイルシステム、並列プログラミングなどの分野で行われている作業に類似している、と研究者らは述べている。「クライアント設定のヘテロジニアス性を隠し、単一のクラスタがバーチャルに誰にでもサービス提供できるスキームを考え出した」と説明している。興味深いことに、プロトタイプはLinuxベースとなっている。リサーチペーパーでは、Amazonの「EC2」クラウドサービス上に32〜64ノードクラスターでUCopを設計・実装する概略を説明している。「遅延ペナルティーを回避するtask-end-to-startコンシステンシーとprethrowingのテクニックを紹介する」と研究者らは記している。また、「クラスタ全体のキャッシュ共有、RDC(Remote Differential Compression)、job-end-to-startコンシステンシーの概念を組み合わせることで、帯域幅ペナルティーを回避する」とも付け加えている。

 「Seawall: Performance Isolation for Cloud Datacenter Networks」Microsoft Research、コーネル大学

 「Seawall」は、あるデータセンター内のホスト上に共存するテナント間でパフォーマンスを分離する方法に関する研究だ。既存のマルチテナントスキームは、ハイパーバイザーに依存しており、セキュリティ、仮想マシンのチャーン、静的な帯域制限、攻撃を受けたハイパーバイザーなどの制御が難しい、と研究者らは指摘する。Seawallは「エッジベースのソリューション」であり、「ハイパーバイザー間を結ぶ輻輳制御されたトンネルでトラフィックを伝送することで、テナント仮想マシン間で公正さ」の実現を目指す、とリサーチペーパーの概要に書かれている。

 「CloudCmp: Shopping for a Cloud Made Easy」Microsoft Research、デューク大学

 「CloudCmp」は、クラウドコンピュータの利用者がレガシーアプリケーションをクラウドで動かすにあたって、実際に実装せずしてパフォーマンスとコストを試算するのを支援する計算フレームワークだ。このフレームワークは、「Google AppEngine」、Amazon Web Servicesのサービス、Microsoftの「Windows Azure」などのサービスの特徴を記し、各サービスのパフォーマンスとコストのベンチマークを出している。ランキングは、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)製品、IaaS(インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス)製品、PaaSとIaaSを組み合わせた製品を提供するプロバイダーを取り扱う。

 「Distributed Systems Meet Economics: Pricing in the Cloud」Microsoft Research、上海交通大学、北京大学

 アジアの研究者らは、クラウドコンピューティングが「システム設計と最適化を土台から変えた」ことに関する調査結果を披露する。調査結果はAmazon EC2クラウドサービスにフォーカスしたもので、分散システムが価格の経済学にどのような影響を与えたのかを示す。研究者らはまた、調査結果をUsenix Hot Cloud 2010カンファレンスでも披露することになっている。

 Microsoft Researchプロジェクトによくあることだが、これらの研究が商用化されるかどうか、するのならいつか、そしてどのように、といったことはまったくわからない。だが、Microsoftが製品だけではなく、研究部門でもクラウドにフォーカスしていることは興味深いことだと思う。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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