Microsoftの幹部がライバルの動向について公式にコメントすることはめったにない。だから、コメントしたときはよほど神経に触ったということになる。どうやら、米国時間6月9日にMicrosoft Virtualization Team Blog上に掲載された投稿を見ると、「よほど神経に触る事態」が起こったようだ。
NovellとVMwareは9日、提携拡大を発表した。この提携の下、VMwareは「SUSE Linux Enterprise Server」の配布とサポートを提供することになる。VMwareはまた、自社仮想アプライアンスベースの製品をSUSE Linux Enterprise Server上で標準化する計画も明らかにしている。
この提携は、Microsoftには好ましくないものだ。特に、Microsoftの幹部らは、自社の相互運用性の取り組みについて語るとき、好んでNovellを引き合いに出しているからだ。MicrosoftとNovellも数年前、同じような配布とサポートに関する提携を結んでいる(これには、オープンソース陣営の顧客とベンダーを閉口させた特許保護条項も含まれている)。そして2社は6月1日にも、米マサチューセッツ州ケンブリッジにある共同ラボでの高性能コンピューティングの進展について発表したばかりなのだ。
6月9日付で「VMWare figures out that virtualization is an OS feature(VMwareは、仮想化はOSの機能であるということに気が付いた)」というタイトルでブログ記事を掲載したサーバ&ツール事業部コミュニケーションディレクターPatrick O’Rourke氏は、MicrosoftとNovellの3年半にわたっての提携に触れ、475社の共同顧客にメリットをもたらした、と記す。
「パロアルト(VMwareの本社所在地)の人々は、業界の中でますます孤立を強めている。Microsoftは相互運用性の取り組みにより、選択肢と柔軟性を顧客に提供している。これには、Novellとの取り組みも含まれる。VMwareはわれわれとは反対の道を選んだようだ」とO’Rourke氏は書いている。
O’Rourke氏は、VMwareとNovellの提携は、「柔軟性を欠いた提案に顧客を縛り付けるものであり、顧客にとってはよくないものだ」とも述べている(Microsoftは一部のSUSEバージョンを利用するNovell顧客に免責を与えることで不確定さを生んだ。これは「柔軟性がある」といえるのだろうか?)。SUSEの配布パートナーとしてMicrosoftあるいはVMwareに依存するという決断は、顧客にとって容易ではないとわたしは思うのだが。
O’Rourke氏はこれ以外にも、VMwareとNovellの提携は、VMwareが「仮想化はサーバOSの機能の1つであると、やっと認めた」ことを示すものだ、とも記している。というのは、発表されたアプライアンスには、vSphereと完全版のサーバOSが含まれるからだ。
最後にO’Rourke氏は、VMwareには「Windows Azure」のようなパブリッククラウド製品がないという指摘をして、記事を締めくくっている。
「Microsoftは顧客が柔軟かつ共通のアプリケーションおよび管理モデルをオンプレミスとクラウドで実現できるようデモをし、機能を構築している。一方でVMwareは、欠如をカバーするために仮想アプライアンスをつなぎ合わせている」とO’Rourke氏。「重要なのは、次期『System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)』ではVMwareおよびCitrixの仮想マシンを設定できるようになる」。筆者としては、これに、サーバアプリケーションの仮想化機能が加わることも付け加えておこう(SCVMMの次期版は2011年後半に発表予定)。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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