Microsoftの最高経営責任者(CEO)Steve Ballmer氏が、Microsoftはいつクラウドにおいて「all in」となり、自社の社内開発アプリケーションもクラウドベースにするのかというメモを数人の幹部に送ったのは、約1カ月前のことだ。
このメモを受け取った1人である最高情報責任者(CIO)のTony Scott氏はBallmer氏になんと語ったのか?Scott氏は、これは最優先事項であり、今後5年から10年の間にMicrosoftの社内アプリケーションの85〜90%がクラウドベースになることを明確にした。
Microsoftが「Windows Azure」「Business Productivity Online Suite(BPOS)」などの自社クラウド製品を利用しているとしても、驚きには値しない。だが、Microsoftがクラウド化へと向かう速度は驚異的といってよいだろう。
Scott氏によると、Microsoftは社内のクラウド化を開始するにあたって、以下の3つのポイントを考慮したフレームワークを構築したという。
Microsoftが最初に社内アプリケーション(オークションツールの「Giving Campaign」)を「Windows Azure」に移行したのは1年前のことだ。その後、いくつかの他のアプリケーションもクラウドに移行した。しかし、最初の大きな課題はライセンスアプリケーションの移行になる、とScott氏は語る。
Microsoftのライセンスアプリケーションは、自社顧客のライセンス契約を追跡するものなので、ミッションクリティカルといえる。レガシーアプリケーションでもあり(追跡対象が1製品(「DOS 1.0」)しかないときに開発された)、その後も無計画に進化した。現在、このアプリケーションは約60ものアプリケーションを集めたもので、その多くが「Azureに移行するのに適していない」とScott氏は言う。ライセンスアプリケーションは6カ月前から再設計が始まっており、完成まであと1年半を要するという。作業が完了すれば、クラウドホステッドアプリケーションとして提供するという。
社内開発したアプリケーションをAzureに移行するのは、Scott氏の仕事の一部にすぎない。Scott氏は9万人のMicrosoft社員をBPOSに移行するという任務も負っている。
「現在Microsoftでは、全従業員がBPOS-D(Dedicated、つまりプライベートのこと)環境にある」とScott氏。Microsoft社員が利用するBPOS-Dと社外で提供するBPOS-Dの唯一の違いは、Microsoftの社内版にはまだリリースされていないサービスが含まれている点だという。
「Microsoft社内で開発されたアプリケーションは全て、クラウド向けに設計されている」とScott氏。オンプレミスアプリケーションに手を加えてクラウドで動かすよりも、「クラウドを念頭にスタートした方がアーキテクチャ的に容易だ」と同氏は述べる。
明確なビジネスケースがないという理由から、クラウドには移行しない社内アプリケーションもある。「末期を迎えつつあるアプリケーションは常に存在するものだ」とScott氏は述べたが、これは全体の5〜10%を占めるに過ぎないとも言う。
Scott氏のチームはBPOSとAzureの両方にとって最大の顧客だ。Scott氏らはBPOSとAzureの両チームに定期的にフィードバックを送っているという。最も難しい点はなんだろうか?Scott氏に聞いてみた。
「AzureとBPOSは共に、どうやって動かすかにフォーカスしている。だが、それでもCIOとしては運用指標がほしい。システムの稼動状態にあるか?顧客の要望を満たしているか?われわれはこの点について多くのインプットを与えた」(Scott氏)
Scott氏はまた、Microsoftのクラウド移行に関するプロジェクトマネジメント関連ドキュメンテーション、開発メソドロジー、運用プラクティスとプロトコルの構築にもフォーカスしているとのことだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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