毎年6月上旬は台湾・台北でコンピューター関連の展示会「Computex Taipei」が開催される。筆者も毎年取材に訪れているのだが、台湾訪問のもうひとつの楽しみはケータイ屋めぐりだ。若者の集まる台北の西門にはケータイショップの多数入ったビルがあり、そこで台湾ならではのケータイを探すのが恒例行事となっている。台湾は実は日本贔屓な国であり、日本メーカーの端末や日本スタイルのケータイが意外と多く売られているほどだ。
ところが2010年のComputex訪問時にケータイビルへ寄って見たところ、あちこちに見慣れないケータイが売られていた。近くで見てみればそれらは「Dual SIM」だの「TVチューナ」だの、そんな性能をうたい文句にした無名メーカーの製品。よーく見てみればなんのことはない、中国のトンデモケータイなのだった。中国大陸と台湾は近くて遠い存在だったが、最近は航空機の直行便が復活するなどここにきて急接近!トンデモケータイも海を越えて続々と台湾で勢力を増してきているようだ。
ところで、台湾のケータイメーカーといえば、昔は結構たくさんの企業があった。だが10年前にあったメーカーの多くは廃業してしまったか、OEMメーカーとなり表からその名前は消え去ってしまった。高級路線に走った「DBTEL」なんてメーカーもあったなぁ。また「FUJIYAMA」という謎のメーカーもあのころは存在していた。このFUJIYAMA、当時もかなり謎のメーカーであり面白いケータイをいくつも出していた。さしずめ「台湾版トンデモメーカー元祖」といったところか。FUJIYAMAのケータイはいつか連載で紹介したいものだ。
さて、今でこそスマートフォンで有名な台湾の「HTC」もここ数年に台頭してきたメーカーだ。最近の台湾のケータイというと「Acer」などのスマートフォンか、日本にも製品を出すほどになった英業達/Inventec(OKWAP)程度が目立つくらいであり、あとは海外メーカーの製品ばかりが販売されている状況である。中国トンデモケータイはこの両者のスキマを狙って市場参入を図ろうとしているのだろう。ケータイの基本料金の安い台湾では複数の契約を持っている利用者も多く、トンデモケータイのDual SIM機能は意外と受けそうである。また価格も安いことから使い捨て感覚で購入する台湾の利用者もいることだろう。台湾も数年後にはトンデモケータイだらけになっているかもしれない。
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