SAPPHIRE NOW 2010:企業ITの変遷に対応してきたSAPが目指す「オンプレミス、オンデマンド、オンデバイス」 - (page 2)

 McDermott氏は最後に、「サステナビリティ」について触れた。

 「最も成功しているビジネスは、持続性がある(サステナブルな)ビジネスでもある。無駄のない情報設備から競争力のあるビジネスを展開する……。サステナビリティは、経済、環境、社会の3つの要素を持つ“トリプルプレイ”だ」とMcDermott氏は言う。

 そして、運用コストを抑え、イノベーションに投資することで競争力を強化した例として米Hewlett-Packard(HP)の事例を紹介した。HPは約6000あった業務アプリケーションを1500以下に統合。データセンターを統合し単一のデータウェアハウスを構築することで、パフォーマンスの高いIT組織に変えた。

 同社では、SAPプラットフォームを利用して明確なマイルストーンを定め、売上の4%を占めていたIT支出を2%以下に、金額にして10億ドルを削減したという。その一方で、サプライチェーン自動化などの新機能に投資した。

 「サスティナビリティは21世紀のリーダーの課題だ。コストを削減し、競争力に投資し、成長する。これが持続性のあるリーダーシップだ」(McDermott氏)

「人」がフォーカスされる時代にSAPが目指す3つの領域

 続いて登場したSnabe氏はまず、企業ITの変遷とSAPの適応を振り返った。

Jim Hagermann Snabe氏 Jim Hagermann Snabe氏

 80年代は規模の経済の下で企業は成長した。企業構造は水平統合で強い中央集権型、ITはメインフレームでこれを支えた。SAPは初めてリアルタイムの業務アプリケーションを提供する。90年代に入り、顧客にフォーカスが当たるようになった。規模の経済から、迅速に動き顧客独自のニーズに応える一方で、大量生産を維持するという「マスカスタマイゼーション」の波が訪れた。ITにはBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)のトレンドが起こり、中央集権からより分散型に移行、クライアント/サーバの時代を迎えた。この時代にSAPは「R3」を提供した。

 そして現在、再び転換点を迎えつつある。新たに訪れるのは「人」にフォーカスする時代だ。消費者や従業員が影響力を持つ。コネクト、コラボレーション、分析、迅速な意思決定などがビジネスのトレンドであり、「ITも新しいアーキテクチャが必要」だとSnabe氏は言う。

 この時代に対応する戦略としてSnabe氏が示したのが「オンプレミス、オンデマンド、オンデバイス」だ。

 オンプレミスは、いわばSAPの土俵。「2番手の2倍以上の規模を誇る揺るぎないリーダーである」とSnabe氏は言う。コアのビジネスプロセスとインフラを自社内で持ちたいという顧客向けで、主力製品「SAP Business Suite 7」と「BusinessObjects」ブランドの分析ソフトウェアにより、戦略策定から執行までのギャップを埋める。2010年後半にビジネスプロセスをアップデートした強化パックを提供し、分析ではインメモリ技術を組み込んで高速化を図る。

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