「オンデマンド」はインフラを共有し、すぐにバリューを得たいという顧客向けとなる。ここでは、「オンプレミスソフトウェアのビジネス拡張ライン」と、SaaSとして提供される「Business ByDesign」の2つのアプローチをとる。Business ByDesignは現在米国、ドイツなど6カ国で限定的に提供しているが、7月末に一般向けにローンチし、2011年以降世界市場に拡大していく。
Business ByDesignは提供が当初の予定から大きく遅れているが、Snabe氏はこれについて、「新しい分野であり、完璧にしてから提供する必要があった」と説明する。現在約100社の顧客が利用しており、十分なフィードバックを得られたという。最新バージョンではインメモリ技術を利用し、SAPの高度な分析を高速に処理できる。Snabe氏はステージ上で、「iPad」で動くBusiness ByDesignの分析機能を披露してみせた。オンデマンドは米Salesforce.comなどがリードしている分野だが、Snabe氏は「ナンバー1を目指す」と意気込んだ。
「オンデバイス」では、ビジネスユーザーが場所と時間を問わずに情報やデータにアクセスできるようにする。Sybaseの買収はこの部分を補完するものとなる。それに加え、新しいツールも提供する。一例として、Snabe氏は4月に一般提供を開始したコラボレーションツール「StreamWork」を紹介した。
この3つのレイヤに加えてオーケストレーションを用意、データに一貫性を持たせ、プロセスをエンドツーエンドで支える。ソフトウェア全体に一貫性を提供することで、オンプレミス、オンデマンド、オンデバイスの各ソリューションをばらばらに実装しても、連携が可能となるよう設計した。Snabe氏は「的確な情報を正しいタイミングで適切な人に配信できるようになる」と言う。これを、Oracleのスタックアプローチと対比しながら、「ネットワーク化されたソリューションである」とまとめた。
2人のCEOが共に強調したのは「オープンエコシステム」と「選択肢」だ。SAPは業務アプリケーションに専念し、Intel、Cisco Systems、EMC、VMwareなどさまざまな分野のリーダーと提携する。また、既存顧客へのメッセージとして、運用に支障を与えることなくこれらの技術を提供していくとした。
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