パナソニックは12月9日、環境に対する同社の取り組みをまとめ、発表した。2009年度上期に取り組んだ「エコアイディア」などが紹介された。
パナソニックでは、2007年に「商品」「モノづくり」「ひろげる」と3つの「エコアイディア戦略」を策定。3年目となる2009年は「仕上げの年」(環境本部本部長の岡原邦明氏)として取り組んできたという。
10月にはパナソニックの代表取締役社長 大坪文雄氏が「CEATEC JAPAN 2009」で、「〜新しい時代の『くらし価値創造』を目指して〜」をテーマに講演。エコライフの提案や環境負荷を極小化したビジネススタイルの実践など、エコに重きをおいた同社の取り組みを話した。
パナソニックが取り組むエコアイディアの1つが「商品のエコアイディア」だ。省エネナンバー1を達成した製品数は、2007年に79機種、2008年には233機種と大幅に増加。2009年度は約200機種が省エネナンバー1を達成する予定だという。うち海外製品は65%を占め、グローバルに取り組んでいることを裏付けてた。
9月からは「エコナビ、はじまる。」というキャッチコピーの下、「エコナビ家電」を発表。エアコン、冷蔵庫、洗濯乾燥機など8モデルをラインアップしている。「エコナビ家電は生活や暮らしに合わせて省エネできる製品。無理せずエコ活動ができる」(岡原氏)としている。
12月1日からは、デンマークの電力会社SEAS-NVEと共同で電力会社と家庭をスマートグリッドでつなぐライフィニティによる実証実験をスタート。(1)電力消費の見える化、(2)センサによる省エネ制御、および各種機器の遠隔制御、(3)センサによる暖房機器の省エネ制御、および創エネ、蓄エネ機器の連携活用――を目的に実施している。SEAS-NVEが発電、送電などの配電ネットワーク、パナソニックが自宅内機器のライフィニティ部分を手がける。
「デンマークは風量発電など分散型エネルギーに取り組む環境先進国。次世代送電システム『スマートグリッド』で連携し、新たな取り組みにしていきたい」(岡原氏)と、新規分野への意欲を見せた。
世界的に注目が集まるCO2排出量については「モノづくりのエコアイディア」として、積極的に取り組んだ。2006年度に398万トンだったCO2排出量を、2008年度は347万トンと51万トンを削減。この数値は2009年度のCO2排出量の目標数値にしていたもので、1年前倒しでの実現となった。
生産工程では、工場全体で計測していたエネルギー使用量を、個別設備計測へと切り替えた「メタゲジ活動」、専門チームによる省エネ診断の実施、生産プロセスの改善、削減事例の横展開など、4つの基本施策を実施したとのことだ。
また、2011年の地上デジタル放送完全移行を見据え、ブラウン管の廃棄処理に新方式を採用。処理能力を約3倍に増強したほか、使用済みのブラウン管ガラスは舗道用ブロックに再利用するなど、資源リサイクルにも取り組んでいる。
エコアイディアの取り組みは、「ひろげるエコアイディア」として世界各地へ拡大させており、5月には「パナソニック・中国環境フォーラム2009」の開催、6月には「エコアイディア工場ビルゼン記念イベント」などを実施。マレーシア、タイ、シンガポールにもエコアイディア工場を推進している。
パナソニックでは、4月に東京都江東区に「おウチまるごと『CO2プラスマイナス0』のくらしへ」をコンセプトにした「エコアイディアハウス」を設立。「1990年における家庭でのCO2排出量を100%とした場合、2009年は家まるごと省エネにより、CO2排出量を47%にまで削減、今後訪れる201X年には、燃料電池や太陽光発電、蓄電池などの創エネ、蓄エネ技術を用いて、自宅内の使用電力を賄い、『CO2±0』を目指していきたい」(岡原氏)と今後の展開を話した。
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