パナソニック、大坪社長が捉える「変化の波」と今後の施策

加納恵(編集部)2009年10月09日 20時58分

 IT・エレクトロニクスの総合展「CEATEC JAPAN 2009」の基調講演に、パナソニック代表取締役社長の大坪文雄氏が登場した。「新しい時代の『くらし価値創造』を目指して」をテーマに、環境問題やネットワーク社会の進化といった「変化の波」に対し、パナソニックがどう取り組んでいくかについて話した。

環境問題は目に見える形で深刻になっている

 大坪氏が、変化の波として挙げたのは「新興国市場の成長」「環境問題」「高齢化」「デジタルネットワーク社会の進化」。関心が高まる環境問題については、「全世界のエネルギー消費は爆発的に増加しており、2050年には2005年の倍へとCO2が増えると言われている」と危機感を示した。加えて「資源の枯渇についても目をそむけているわけにはいかない。環境問題は日に日に目に見える形で深刻になっている」と続け、早期の取り組みが必至であることを訴えた。

パナソニック代表取締役社長の大坪文雄氏 パナソニック代表取締役社長の大坪文雄氏

 これらの環境問題が産業に与える影響に関しては「計り知れない」とし、「脱石油、自然エネルギーの驚くべき進化によって、関連産業のあり方はガラリと変わってしまう。会社や個人の浮き沈みが劇的にあるだろう」と予測した。

 BRICsなど新興国市場の成長については、「各世帯の購買力は高まってくる。多くの家庭が大きな力となって耐久消費財市場を支える」と重要性を説く。

 一方、高齢化については「高齢化は日本だけでなく、世界的な傾向になっている」とする。ライフスタイルについては「のんびり過ごすのではなく、スポーツや趣味などアクティブな思考が強い」と分析。仕事でパソコンを利用していた世代がシニアになってきたこともあり、インターネットの活用率は高い。こうした背景を受け、高齢者のライフスタイルの変化は「大変重要なテーマ」と位置付けた。

注力商材はLED電球、太陽電池、燃料電池

 このような変化の波を受け、パナソニックが掲げるのは「エコ基軸」「お客様起点」の商品作りだという。エコ基軸では、エコを基準に商品を生み出すことに加え、「販売プロセスにおいても環境負荷を極小化するビジネススタイルの実践」、お客様起点については「満足感・安心感がもてるような品質を確保し、低価格・低品質のものとは一線を画す、新しいボリュームゾーンを作り出したい」と話す。

 パナソニックが推進している「家・ビルまるごとソリューション」については、「パナソニックでなければできないと言われている。商品を揃えてもらえばもらうほど高い価値が経験できる。イノベーションを起こしパナソニックらしい暮らしと創造価値を提案していく」と積極的な姿勢を見せた。

 今後力を入れていく商品としたのはLED電球、太陽電池、燃料電池など。電池に関しては「高容量、高信頼性、安全性などに特長をもった電池モジュールの開発が完了している。モジュールの応用展開を進め、さまざまなニーズに対応していきたい」とする。

 また、家・ビルまるごとソリューションにも通じる展開としてエネルギーマネジメントについても話した。大坪氏によると「あらゆる機器をつなぎ、最適な制御をすることで、省エネで快適な暮らしを提案していく」とのこと。より効率的なエネルギーマネジメント技術として「AC/DCハイブリッド配線システム」に取り組んでいることも明らかにした。交流から直流に変換する際に生じる変換ロスをなくし、エネルギーロスの削減に貢献していきたいとしている。さらに光触媒を太陽光パネルに実装することで、水素の生成やCO2をメタノールに変換する「光触媒技術」に関しても研究開発段階であるとした。

  • AC/DCハイブリッド配線システム。CEATECの会場でも参考出展されていた

  • 研究開発段階にあるCO2を減らす光触媒技術

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