本村:開発途中では、別ブランドにしようかという話も出ていました。しかしCELLを搭載しているからといって、テレビのカテゴリであることに変わりはない。目指すところはテレビの本物を作ることであって、テレビのキワモノを作る気はなかったんです。王道中の王道のモンスターテレビを作る。CELL REGZAは、REGZAの最上位モデルという位置付けなんですね。そう考えるとやはりREGZAブランドを冠するべきだなと。
ただ通常のREGZAとは、あまりにもスペックや内容が違うのでCELL REGZAというネーミングにして、ロゴフォントも別のものを採用しました。
大角も言っていることなんですが、現時点でCELL REGZAは確かにモンスターテレビかもしれません。でも数年後にはこのすべてとは言わないまでも、画質、音質、機能が徐々に通常のREGZAに搭載されることを想定しています。3年後、5年後にはこのテレビがREGZAの上位機種に収まっているイメージなんです。東芝が描くテレビの開発ストーリーに一貫性を持たせるためにもブランド名はREGZAでいきたかったんです。
本村:それには2つの方向があると思っています。1つはCELLというデバイスを使ったテレビそのものが進化し、価格的にも魅力が出てくる方向。もう1つがCELLを使わなくても、現在の半導体技術を使って、CELLと同じ機能や画質が具現化できるという方向です。
後者に関しては、すでに商品化されていて「超解像」などはまさしくCELLの機能を半導体で実現している機能なんですね。
超解像は、東芝の研究所で開発した技術なんですが、すべてソフトウェアで処理しています。元々CELL REGZAの高画質機能として研究開発していたんですが、シンプルにすれば半導体でも動かせるのではないかということが開発途中で見えてきた。そのため、CELL REGZAをまたずに2008年の春モデルから導入しました。
また、2009年秋モデルとして発表した「ZX9000」「Z9000」で、ダブル録画しながら別番組を視聴できるという「地デジ見ながらW録」という機能を内蔵しています。これは26時間×8チャンネル丸録りまではいきませんが、多チャンネル同時録画というコンセプトはCELL REGZAにかなり近い。このようにCELL REGZAのDNAはすでにREGZAに内蔵されています。
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