本村:これはもう、本当にテレビの見方が変わる機能です。録画って意識しないとできない行為なんですが、タイムシフトマシンであれば、勝手に番組を録画していてくれる。これで録画の概念が変わりますね。
今、テレビを視聴する時は、テレビをつけて放送中の番組の中で「どれが見たいか」を選ばなくてはいけない。これがタイムシフトマシンだと、26時間前までさかのぼれることができる。26時間×8チャンネル分の番組の中には、絶対に見たい番組が録画されているはずです。
一方、テレビをつけた時に「あ、この番組見たかった」と思うことって結構ありますよね。そんな場合もリモコンを操作するだけで番組の頭から視聴できる。こうなってくると視聴スタイルは大きく変わってくると思います。この機能すべてというのは難しいかもしれませんが、通常のREGZAにもタイムシフトマシンの機能はぜひ落とし込んでいきたいです。
本村:確かにテレビとして究極のスペックを盛り込んでいますが、絶対に作れなかったかというと、そうではないと思っています。とある方から「CELL REGZAは、ショーモデル1台だったら作れる。それを商品化してしまうからすごい」と言っていただいたんです。僕にとってはすごいほめ言葉で、商品として仕上げるまでの大変さを理解していただけたのかなと。
商品化できたのは、大角の言葉を借りるのならばパッション、まさに情熱があったからです。技術、開発、商品企画に携わるスタッフ、さらに社のトップまで含めた全員の情熱だったと思います。
発売を年末に控えた今、技術陣は本当に苦しい状況にいます。ただ経済環境からもこの時代にCELL REGZAのようなテレビの開発に携われたことは幸せと思うべきだなと。
本村:はい。CELL REGZAと現行のREGZAを同時に開発していたんですが、とにかく大変でした(笑)。東芝には、テレビの開発を主に手がける深谷工場、コアテクノロジーの研究開発をする青梅事業所、さらに技術開発を専門でしているマイクロエレクトロニクスセンターという、3つの技術部隊があるんですが、CELL REGZAに関しては、3部門すべての共同開発になりました。
本村:決定的に違ったのは、コストの制約がなかったことですね。これによって、技術者の夢、会社のトップたちの夢、商品企画の夢といったことを全部製品に投入できた。
そういう夢を形にしたのが、CELL REGZAなんです。この思いは細かい部分にまで受け継がれていて、例えば付属の「CELL レグザリモコン」などは最たるものですね。アルミ素材を用いて、2段スライド形状を採用。さらにタッチパッドを搭載するなんて、通常のテレビではありえない(笑)。またテレビ本体にもアルミを用いて、徹底的にこだわったデザインに仕上げています。
通常のテレビは常にコストバランスを意識しながら作るから、こういうリモコンにもデザインにもなかなか結びつかない。そういう意味では、通常のテレビの開発とは決定的に違いましたね。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス