究極に“ワクワクする”テレビ「CELL REGZA」はいかにして作られたか - (page 3)

加納恵(編集部)2009年10月26日 18時19分

商品化までこぎ着けた最大の要因は全員の「情熱」

――CELL REGZAの特徴的な機能「タイムシフトマシン」は、録画好きのユーザーにとっては待ちに待った機能ですね。

本村:これはもう、本当にテレビの見方が変わる機能です。録画って意識しないとできない行為なんですが、タイムシフトマシンであれば、勝手に番組を録画していてくれる。これで録画の概念が変わりますね。

  • 「タイムシフトマシン」の画面。録画済み番組の検索をサポートしてくれる

 今、テレビを視聴する時は、テレビをつけて放送中の番組の中で「どれが見たいか」を選ばなくてはいけない。これがタイムシフトマシンだと、26時間前までさかのぼれることができる。26時間×8チャンネル分の番組の中には、絶対に見たい番組が録画されているはずです。

 一方、テレビをつけた時に「あ、この番組見たかった」と思うことって結構ありますよね。そんな場合もリモコンを操作するだけで番組の頭から視聴できる。こうなってくると視聴スタイルは大きく変わってくると思います。この機能すべてというのは難しいかもしれませんが、通常のREGZAにもタイムシフトマシンの機能はぜひ落とし込んでいきたいです。

――あらゆるスペックがモンスター級ですが、CELL REGZAを商品化を実現できた最大の要因は何でしょう。

本村:確かにテレビとして究極のスペックを盛り込んでいますが、絶対に作れなかったかというと、そうではないと思っています。とある方から「CELL REGZAは、ショーモデル1台だったら作れる。それを商品化してしまうからすごい」と言っていただいたんです。僕にとってはすごいほめ言葉で、商品として仕上げるまでの大変さを理解していただけたのかなと。

 商品化できたのは、大角の言葉を借りるのならばパッション、まさに情熱があったからです。技術、開発、商品企画に携わるスタッフ、さらに社のトップまで含めた全員の情熱だったと思います。

 発売を年末に控えた今、技術陣は本当に苦しい状況にいます。ただ経済環境からもこの時代にCELL REGZAのようなテレビの開発に携われたことは幸せと思うべきだなと。

――開発は通常のREGZAと同時進行だったのですか。

本村:はい。CELL REGZAと現行のREGZAを同時に開発していたんですが、とにかく大変でした(笑)。東芝には、テレビの開発を主に手がける深谷工場、コアテクノロジーの研究開発をする青梅事業所、さらに技術開発を専門でしているマイクロエレクトロニクスセンターという、3つの技術部隊があるんですが、CELL REGZAに関しては、3部門すべての共同開発になりました。

――開発メンバー以外にも何か通常の商品開発とは違うことはありましたか。

本村:決定的に違ったのは、コストの制約がなかったことですね。これによって、技術者の夢、会社のトップたちの夢、商品企画の夢といったことを全部製品に投入できた。

  • 「CELL レグザリモコン」。新電波方式により全方位送信ができる

 そういう夢を形にしたのが、CELL REGZAなんです。この思いは細かい部分にまで受け継がれていて、例えば付属の「CELL レグザリモコン」などは最たるものですね。アルミ素材を用いて、2段スライド形状を採用。さらにタッチパッドを搭載するなんて、通常のテレビではありえない(笑)。またテレビ本体にもアルミを用いて、徹底的にこだわったデザインに仕上げています。

 通常のテレビは常にコストバランスを意識しながら作るから、こういうリモコンにもデザインにもなかなか結びつかない。そういう意味では、通常のテレビの開発とは決定的に違いましたね。

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