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新たなネット/リアル体験を実現するために必要なこと - (page 2)

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 しかし、だからといって何もしない、むしろ既存のしくみがネットやデジタルについて背を向ければ何の変化も訪れない。むしろ、より面倒な事態が生じる可能性が高い。それはP2Pソフトウェアや動画投稿サイトの利用が合法よりも海賊版に圧倒されている現状がすでに望ましい状況にはないということは明らかだ。

 以前、「ネット法」といった議論もあったが、特定のプレーヤーにとってのみ優位になるというのはいかがなものか。であれば、どうすべきなのだろうか。デジタルでの利用とそうでない部分の利用を区分するという発想があってもいいのではないか。

 むしろ、そうすることで非デジタルの世界=エクスペリエンス系の位置付けがよくなる可能性が高い。それはすでに現実となりつつある。ライブ・イベントの価値が高まり、マドンナなどのメジャー・アーティストはこぞって、パッケージを扱うレコード・レーベルから、ライブネーション・チケットマスターなどのライブ・イベント系へと移籍するなどの動きが出ていることは広く知られるところだ。

 ではどうやって区分するのか。既存の著作権法では、創作されたものはその時点で著作権の対象となる。が、デジタルで流通されるものの多くは創作の後、何らかの手順を踏んだ結果、流通されることが多い。であればそれら流通対象、それも商業的な意味合いを持ったものについては、従来の著作権の保護に加えて、その利用許諾を不要化/容易化する代わりに商材としての価値を保証するプラスアルファの規定を設けるという発想が出てきている。中間解としての著作権「二階建て」という議論だ。具体的には、既存の著作権法を変えることなく、商業的性質を有した作品をデジタル環境に適した形で管理運営できる仕組みに登録し、その利用を広く市場全体で把握することで、その対価徴収などの可能性を高めるのだ。

ネット社会は電子ブロックに

 一旦登録されたコンテンツは、その所在と利用を検索エンジンなどを用いて特定期間単位で把握することは決して困難ではない。その仕組みを、単なる「対Google」といった貧弱な発想だけではなく、「広くデジタル・コンテンツの流通を促進」するために必須の仕組みとして国などが整備・運営することが望ましいのではないか。そうなると、ITSなどに加えて、ARの開発が一挙に加速され、「未来の製造国」日本の面目躍如となるのではないか。

 その際、すべてを国が担うのではなく、登録はそれぞれのコンテンツ毎に適した団体(例えば、映画であれば映画連盟など)が、「コンテンツ目録」的なデータベースを整備する。その中でも、著作者によって商業作品として登録された作品については、その所在や利用を追跡する機関と共同して、対価徴収の可能性を探っていく……。むしろ、国はあくまで制度設計とその紛争解決に専念し、運用そのものは民間が行っていくべきだろう。

 今後、ARなど多種多様なコンテンツを状況や利用機器などに応じて任意に組み合わせ、その利用成果をメタなコンテンツとして蓄積、更なる活用を促進するサービスが増大することが想定される。そこで、多重にマッシュアップしたものであっても、そのパーツとなるコンテンツの出自が常に把握され、かつその利用デザインはメタデータとして別途保存され、過剰な入れ子構造を可能な限り制限する。ちょうど、HTMLやCSSといったメタファイルと、その指定によって随時組み込まれる各種画像や映像ファイルのように。

 きっと、ARがGPSデータを基軸に多種多様なDBから引き出されてくるデータをプロセス+マッシュアップしたものの総体であるように、ネット上の社会とコンテンツの関係性は「電子ブロック」のようなパラダイムに移行していくのではないか。それぞれのコンテンツを登録収容したデータベース(ブロック)が、必要に応じて組み合わされ、その組み合わせのデザイン(ブロックの配置)が優れたものであればあるほど、高いアウトプットを得られるようになる。その時、従来の著作権の発想は、「電子ブロック」的な世界にはそぐわないものの、現実の世界では依然として意味を持ち続ける。

 今、電子ブロックのパラダイムに適したデジタル環境向けの著作権概念として「中二階」を早急に増築する必要性があるのではないだろうか。そのために政府の動きが遅ければ、民や学から積極的な提案を図っていってはどうだろう。「ARが可能な、こんなネット社会を創りたいのです」と。

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