9月22日と23日の2日間にわたって米国サンディエゴで開かれたベンチャー企業の登竜門的イベント「DEMOfall 09」には、前年並みの70社近くが出展した。
不景気の影響は、というと、「確かに不景気ではあるが、シリコンバレーは起業する人が次々と集まってくるので、あまり不景気という気がしない」というのが、会場で聞かれた大方の意見だった。
DEMOの1週間前に開催されたTechCrunch50も盛況だったと聞くし、米国西海岸のベンチャー業界は相変わらず元気がいい。
多言語でサービスを用意し、米国市場だけでなくグローバル市場を狙っている企業が多いのが今年の特徴である。例えば、SMSを広告メディア化するベンチャーがアフリカ市場進出を語っていたり、多言語対応の翻訳技術を開発し、グローバル企業のローカライズ需要を狙う企業がいたりする。
Internet World Statsによると、インターネット上の情報は70%が非英語表現だという。会場では、この70%の非英語市場がこれからのインターネットビジネスの成長エンジンになるという見方が主流だった。たとえば、Q&AサイトのAnswers.comは、8カ国語に対応。楽曲の歌詞を配信するTuneWikiは、40カ国語に対応している。
リアルタイムにウェブページの翻訳をする「機械翻訳システム」を開発したDubzerのCEO、Anjali Gupta氏は、「今後、インターネットビジネスは、新興国市場への進出が加速する。各企業ともローカライズの必要性が高まり、翻訳のニーズが増えると見込んで起業した」と語る。
インターネットの世界的な普及とともに、多様な言語、生活行動をとりこむ需要が増加している。今後、多言語対応は、決済、認証機能などとともに、インターネットプラットフォームの基本機能になるだろう。
国際電気通信連合(ITU)によると、世界全体の携帯電話利用者は2009年末で46億人に達する見込みという。アジアやアフリカなどの新興国の人たちは、PCを買う余裕はなくても携帯電話は持っている。カンファレンスでNokiaなどの海外端末メーカーの人たちの話を聞くと、「携帯電話は、新興国にとって初めて持つコンピュータだ」といった趣旨の発言が多い。海外の携帯電話業界は、こうした新興国向けのサービス展開に軸足を移している。
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