Microsoftは米国時間8月24日、新興市場のユーザーが、インターネットで提供されるさまざまなプログラムにローエンドの多機能携帯電話を用いてアクセス可能にする新モバイルソフトウェアを発表した。
「OneApp」という同ソフトウェアは、2009年内のリリースが予定されており、しばしば新興市場において20ドルや30ドルの低価格帯で販売されている携帯電話機からでも、「Facebook」や「Twitter」、Microsoftの「Windows Live Messenger」などのサービスへとアクセスできるようになるという。Microsoftは、南アフリカのBlue Label Telecomsが、OneAppを採用する初のキャリアとなり、OneAppにて実現するモバイル決済プログラムやソーシャルネットワーキングツールなどの各種モバイルアプリケーションに対応した携帯電話が出荷されることになる。
OneAppはOSとは異なるものの、その上で数多くの種類のプログラムを実行できるソフトウェア環境となる。Microsoftによれば、OneAppのカギを握るのは、各種アプリケーションおよびデータが、主にクラウド環境にて実行されるという点である。つまり、OneAppは、メモリや処理能力の限られた携帯電話機でも動作することを意味しているという。OneAppの容量は、わずかに150Kバイトほどに抑えられ、Mバイトクラスのサイズになるスマートフォン向け各種プログラムとは対照的である。(OneApp対応の)個々のアプリケーションのサイズも、10〜15Kバイトと小さくなっている。
Microsoftで新興市場に特化して、その「無限の潜在性」を模索する部門のコーポレートバイスプレジデントであるAmit Mital氏は「アプリケーションを立ち上げる時でも、(OneAppでは)目的のアプリケーションを部分的に読み込むだけである。非常にインテリジェントで洗練されたキャッシュが用いられ、残るほかの部分はクラウド上にあるのだ」と語っている。
Microsoftは、これまで1年半に渡ってOneAppの開発に取り組んできており、新興市場において、現在はソフトウェアを実行させる目的で用いられていないものの、数億台規模の多機能携帯電話機が存在する点に着目してきた。
Mital氏は「(新興市場の)ユーザーは携帯電話機を音声通話とSMSメッセージ以外には活用していない。それゆえに、もっと携帯電話の能力を引き出して、さらに幅広い分野のサービスやアプリケーションで活用されるようにしていきたいと考えている」と述べた。
こうした展開は、Microsoftもスマートフォン市場において、Apple、Google、Research In Motion(RIM)や他のメーカーからの激化する競争にさらされ、苦闘を強いられている状況にも起因している。Microsoftは、OneAppが「Windows Mobile」の開発とは異なる路線を取ることを示している。
Mital氏は、今後もWindows MobileがMicrosoftのスマートフォン戦略の核となり、OneAppはWindows Mobileに付随する存在に過ぎないのであって、先進国ではなく、主に新興市場をターゲットにしたものであることを強調した。
OneAppは、現時点での開発途上国の市場に向けたMicrosoftの戦略を担うものである。より長期的な観点からは、Microsoftは「Phone Plus」というコンセプトに取り組んでおり、スマートフォンをテレビやキーボードに接続して、一種の基本的なコンピュータとしての役割を果たさせるプロジェクトを進めている。
さらに、MicrosoftはOneAppを活用して、Sun Microsystemsの「J2ME」向けに記述されたアプリケーションに対抗しようとしている。
Mital氏は、OneAppの大きなアドバンテージとして、OneApp向けに記述されたプログラムであれば、ほとんどのOneApp対応の携帯電話機で問題なく動作するゆえに、Javaよりも優位であると指摘している。
Microsoftは現在、一部のパートナーと直接連携してOneAppを開発している。しかし、同社は最終的にはOneAppプログラムの開発を可能にするソフトウェア開発キット(SDK)をリリースする計画である。Mital氏によると、OneApp向けプログラムはXMLやJavaScriptなどのツールを使用して書くことができるという。「世界は、別の新しいプログラミング枠組みを必要としていない。われわれは既存のプログラミング枠組みを使用すると固く心に決めている」(Mital氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
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