マイクロソフトが都内で開催中のウェブ開発者向けカンファレンス「ReMIX Tokyo 09」。基調講演では、MicrosoftでSilverlightの開発を牽引するScott Guthrie氏が登壇。Silverlight 3を聴衆にアピールした。
Silverlight開発では当然、開発者も重要だが、デザイナーもまた同じように大切な存在となる。Guthrie氏は壇上に大阪大学大学院 工学研究科 教授で、デザインディレクターの川崎和男氏を招いた。
川崎氏の講演テーマは衝撃的だ。「コンピュータは消えていきます」――マイクロソフトが顔を歪めかねないタイトルの講演なのだ。川崎氏によれば、OSはなくなり、コンピューティングはもっと違ったかたちを見せるようになるという。
川崎氏はGordon More氏、Paul A. Vixie氏、William J. Mitchell氏という3人のキーマンを挙げながら説明を始めた。
Gordon More氏は集積回路の集積密度は18カ月ごとに倍増するという「ムーアの法則」の提唱者。Paul A. Vixie氏はBINDの開発者の1人であり、メール系の技術開発に関与。William J. Mitchell氏は建築家であり、建築に関する有名な著作をいくつか持っている。
こうしたキーパーソンの予見から、コンピューティングはよりネットワークを活用したものになり、現在の「PC」が前提のコンピューティングは、消え去っていくだろうという自説を述べた。
また、日本で使われている「IT」(Information Technology)という言葉は、いくつかのキーワードが含まれていないとも語っている。現状や今後の発展を理解していくためには、Information以外にも「Intelligence」「Knowledge」「Consciousness」といったキーワードが重要になると説明した。
今後普及していくであろうクラウドコンピューティングにおけるユーザーインターフェース(UI)には、「Book-Intend Type」「Menu Type」「Cockpit Type」「Map Type」「Tag Type」などがあり、最近の30代のウェブデザイナーが使い始めている新しいタイプには「Flag Type」などがあると語っている。
川崎氏は、PCが前提のコンピューティングはもう古い方法であり、たとえば眼鏡が大規模スクリーンになり、キーボードが仮想キーボードになるといったように、デバイス側が変化していけば、それを受けてクラウドプラットフォームも変わることになるだろうと予測。「雲の上には見えないウェブがストラクチャーとなり、私たちの目の前からコンピュータはやがて消えるだろう」という言葉を取り上げ、講演を締めくくった。
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