「われわれは(スパムを)真剣に受け止めているが、撲滅運動を行っているわけではない」とLund氏は言う。
科学技術者であるLund氏はスパム対策の使命に関して、1999年にPostiniを設立したScott Petry氏に比べるとのんびり構えているようだ。Petry氏は、現在はGoogleでプロダクトマネジメントディレクターとしてPostiniグループを率いている。Petry氏はインタビュー中、熱心にホワイトボードに図式を描いて、スパムがどのようにして企業の収益に直接影響を与えているかを説明してくれた。
基本的に、優れたプロテクションであってもスパムの量が増えているという事実を覆い隠すことはできない。スパム送信者は引き続き規模の経済性を利用しており、事実上追加コストなしに、指数関数的により多くのスパムをより多くのターゲットに送ることができるからだ。
1990年代の初め、電子メール初期の時代には、スパムは単にわずらわしいだけのものだった。業界が転機を迎えたのは2002年、スパムが全メッセージの40%から50%に達したときだ。Postiniによれば、現在は推定で全電子メールの90%にもなり、ウイルスに関係するメッセージは全体の15%から50%を占めるという。
勢いを増すスパムに対応するため、企業はより多くのハードウェアを購入し、ストレージと帯域幅の消費量の増大に対処する必要に迫られている。スパム量の増減によって、企業のキャパシティは不足したり過剰になったりしており、ほかに振り分けられたはずの資金とリソースを浪費している。そして、エンドユーザーは受信トレイからジャンクメールを削除するために貴重な時間を無駄にしており、生産性が低下している。筆者自身のOutlookの経験から言っても、これは無視できない要因だ。
スパムの量は、インターネットサービスプロバイダー(ISP)McColo閉鎖直前の2008年11月が最大だった。McColo閉鎖により、スパム量はほぼ一夜にして70%減少したと推定されている。しかし、4カ月足らずのうちに、スパム送信者らは活動の新しいホストを見つけ、スパムの蛇口からは以前とほぼ同量のスパムが流れ出した。
Postiniのサブスクリプションモデル(サービスの種類によって1ユーザー当たり年間12〜25ドル)を利用すれば、企業は予測が難しいスパムに対して前もって計画を立て格闘する必要がなくなる。人々がインターネットアクセスサービスやケーブルサービスに料金を支払うのと同じように、企業はこれをGoogleにやってもらう。
Petry氏によれば、PostiniはGoogleの傘下に入ったことで、世界中のより多くの地域において、より大きな顧客を引き付けており、Googleの販売チャネルとインフラストラクチャを活用して、特にアジア太平洋地域と中南米における拡大を目指しているという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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