videoタグのサポートは、説明するのに良い例だ。HTML 5には、videoタグが含まれている。これは、画像がウェブ上で10年以上前からそうであるように、動画を日常的で、扱いやすいものにする可能性を秘めている。動画は、Adobe Systemsの「Flash Player」やMicrosoftの「Silverlight」、Appleの「QuickTime」などのブラウザプラグインに頼る必要があるものではなく、ウェブのネイティブな部分になるのだ。
少なくとも理論上は。実際には、HTML 5のvideoタグは荒削りなものだ。
最大の問題の1つは、規格のサポートに一貫性がないことだ。画像については、ほとんどのブラウザがJPEG形式、GIF形式、PNG形式でなんとかうまくやっている。しかし動画の場合、MozillaはOgg Theoraを標準でサポートしているが、一方でSafariとGoogle ChromeはH.264規格に傾いている。前者はライセンス供与やロイヤリティーといった制限なしに配布することができるが、後者は現在、動画コンテンツの提供により広く使われている。
そのため、例えば動画サイトの「Dailymotion」では30万件の動画をOgg形式に変換しているが、少なくとも現在のところ、そうした動画をOgg形式で再生するのはFirefoxだけだ。ほかのブラウザではFlash形式に戻るので、このサイトはOggサポートがなくても機能する。しかしこれではウェブにとって現状維持だ。ビデオデコーディングソフトウェアを提供するのは、OS、プラグイン、ブラウザのどれの仕事だろうか。
HTMLビデオを使えば、Flashの埋め込み型の長方形ボックスから大きく抜け出すことができる。またvideoタグは、現在はFlashをサポートしていない、Appleの「iPhone」やGoogleの「Android」搭載携帯電話などの高性能モバイルデバイスにも登場しつつある。
Firefox担当ディレクターのMike Beltzner氏は、米国時間6月16日のインタビューで、「ウェブページと動画のインタラクションができるようになる」と述べている。例えば、ある動画を別の動画の中に埋め込むことができる。またJavaScriptで動画をコントロールすることが可能だ。あるデモでは、再生中の動画に誰が映っているかを顔認識ソフトウェアが記憶し、後からその人物を特定していた。
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