日立・TDKなど50社強 欧州環境規制対応 化学物質情報共有でシステム

FujiSankei Business i.2009年06月18日 11時07分

 日立製作所やTDKなど電機関連メーカー50社以上が、電気製品などに含まれる化学物質の含有情報を共有するシステム運用を6月末から開始する。EU(欧州連合)が導入した化学物質規制「REACH(リーチ)規則」に対応した動きで、欧州向けの輸出を拡大したい家電、電子部品、素材メーカー50社以上の企業が既に参加登録している。

 世界的に環境規制が強まる中で、欧州に続いて中国でもREACH規則と同様の環境規制を導入する動きがあり、各社とも自社の対応策では限界があると判断した。新システムはREACH規則以外の環境規制にも対応する方向で、輸出拡大を側面支援する。

 新システムは、化学物質情報の管理などを行っている「アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)」が中心となる。参加企業は、化学物質データを登録した自社の管理システムを、JAMPが運営するシステムと接続。これにより、参加企業は各社が登録している化学物質情報を自由に閲覧することができるほか、製品に使用する化学物質を変更した際の情報更新も簡単にできる。

 現在は個別に化学物質情報の管理システムを構築しているが、企業間での情報伝達などに年間数億円かかっているケースもあり、情報を共有化すれば、各社のコスト負担減にもつながる。自社の管理システムを持たない企業に対しては、日立やNECソフトなど3社がシステムを有償で提供する。

 すでに、日立や東芝、パナソニックに加えて、TDKや村田製作所などの部品メーカー、三菱化学や住友化学など素材メーカーなどが参加登録しており、「将来的には数千社規模にまで拡大」(参加メーカー)させたい考えだ。

 EUのREACH規則は、欧州に輸出する製品に含有される化学物質の登録を義務づけるもので、現在は数種類にとどまるが、来年11月以降に段階的に対象物質を増やし、将来的には1500種類が規制対象になるとみられている。

 欧州向け輸出を目指す企業にとっては、いわば化学物質規制への対応は不可欠だが、「現在の取り組み状況では将来の対象品目拡大に完全に対応することが難しい」(大手メーカー)のが実情だ。対応が後手に回れば、実質的に欧州向けの輸出を縮小せざるを得ない事態も想定され、新システムをうまく活用できるかどうかが、欧州販売の成否を左右することにもなりそうだ。(三塚聖平)

【用語解説】REACH(リーチ)規則

 欧州連合(EU)が2007年6月に施行した新たな化学物質規制。EU域内で製造・販売量が年1トンを超える約3万種の化学物資について、欧州化学庁(ECHA)に届け出を行うことが義務づけられる。3万種類の化学物質の管理を求めており、使用の届け出や認可が必要な物資も1500種類に達するとみられる。経過措置期間終了後の来年11月以降に、段階的に規制対象となる化学物質を増やしていく。

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